上写真=高木善朗が29分に同点弾を決めて吠える。9試合ぶりのゴールに歓喜が湧き出た(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月30日 明治安田生命J2リーグ第16節(@デンカS/観衆14,759人)
新潟 2-1 琉球
得点:(新)高木善朗、谷口海斗
(琉)池田廉
「みんながつないでくれたゴールでした」
やっぱりこの人が輝けば、アルビレックス新潟は強い。それを改めて知らしめたのが、J1第16節、FC琉球との上位対決で同点ゴールを決め、逆転ゴールを演出した高木善朗だった。
まずは、29分の同点弾だ。島田譲が大きく左サイドに振り、受けた堀米悠斗が中央にクロスを送った。左からのクロスで高木の体の向きは左前の方向だったから、左足でシュートを放つのが常識的だろうが、そこが常人とは違うところ。体をうまく開いてからボールが落ちた瞬間に右足のインサイドでたたいて、ゴール右隅にていねいに転がすようなシュートを放った。かつて新潟でともに汗を流した琉球GK田口潤人の手の先をすり抜けるようにして吸い込まれた。今季7点目だ。
「先制を許した直後のプレーだったので、早い段階で返したかったんです。クロスのシーンでは(鈴木)孝司さんが相手2人をニアに引きつけてくれてぽっかり空いて、みんながつないでくれたゴールでした。難しい体勢でしたけど、ファーに飛ばすことを意識しました」
9試合ぶりの得点の次は、67分の逆転ゴール。左サイドバックの堀米が中央で受けて前を向いたとき、その右前にいた高木が相手の間にすっと下がって顔を出すと、パスが出てきた。今度はゴールを背にするような体の向きだったが、右足のアウトサイドでワンタッチで前に送った。これで一気にスピードアップして、高宇洋、鈴木、高と渡って、最後は谷口海斗が蹴り込んだ。
「今週は特に精神的に自分に発破をかけて、ゴールに関わる仕事をしようと追い込めたので良かったです」
無敗で首位を走ってきた新潟は、第13節の松本山雅FC戦で0-0のドロー、第14節のFC町田ゼルビア戦で初黒星、続く第15節の京都サンガF.C.戦で連敗して首位からも陥落と、3試合勝利から見放されていた。絶好調だった高木への警戒は恐ろしく強くなり、激しくつぶされ、結果に結び付けられないでいた。
だからこそ、気合を入れ直してきっちりと結果を残したことは、大きな自信につながるだろう。80分にピッチを退くときの大きな大きな拍手はサポーターからの最高のご褒美だった。
「やっと勝てて、みんなの笑顔を見ることができてよかったと思います」
そう話す高木も笑顔だった。
写真◎J.LEAGUE