上写真=チョウ・キジェ監督は「自分たちのプロセスを信じてゲームに臨んでいくことが結果につながると思っている」と話す(写真提供◎京都サンガF.C.)
相模原は「スキのないチーム」
うれしい悩みだ。
チョウ・キジェ監督にとっては久々のプロの舞台。生まれ故郷のクラブ、京都サンガF.C.を率いて、スタジアムに戻ってくる。
その最初の一歩はアウェーの地。相手は昇格組のSC相模原だ。彼らを倒すために、うれしい悩みに見舞われている。
「交代枠が増えたことが有利になるのか不利になるのかは、その場でどちらにもなるでしょうが、大事なことは戦術を理解して個性を出す選手のパイが多ければ多いほど有利に生かせるということです。京都には、勝たなければというより勝ちたいという気持ちを持っている選手が多いので、選ぶのが難しいんです」
昨季、採用された5人交代ルールが今季も継続される。チョウ監督にとってはその運用は初めてのことになるが、それでも、次から次へと選手たちがアピールするから不安はない。
今季も昇格は2チームのみで、逆に4チームが降格するタフなレギュレーションだ。コロナ禍もあいまってか、22チームのうち、新監督で臨むのはわずか5チームで、多くのチームが継続路線を選んだ。いわば「マイノリティ」の一つが京都。
「どのチームも上位を狙う中で紆余曲折があると思いますが、起きてもいない状況についてリスク回避するよりは、チャレンジした中で実体験として進んでいくことが、京都にとって正しい道であると監督として思っています」
ピッチの上で戦って、獲得した経験値を次に最大限に生かす。それができなければ前には進めない。シンプルだが確かな論理だ。
最初に戦う相模原は「組織的なチームで前線に能力の高い選手がいて、去年はJ3の中で戦い方を心得ていたスキのないチーム」という印象だという。「その勢いを受けないようにプレーしていかなければ」と警戒心を高めている。
「自分たちに起きることに対して、こんなはずじゃなかった、とか、そうは思わなかった、ではなくて、起きることはすべて必然として臨むことが大事です。目指しているものに寄り添えるかどうかが大事だと思います」
すべてが必然なのであれば、自分たちから正しいアクションを起こせば優位な状況にたどりつくということになる。同時に、相手のプレーから意外性を消すことにもなる。何が起きようとも意識の問題、というわけだ。
その精神性を表現するだけのことを、徹底してきたという自負があるだろう。新生サンガがどんなスタートを切るのか、楽しみだ。