上写真=キャンプでも積極的に声を出し、チームを引っ張る東京Vの大久保嘉人(写真◎杉園昌之)
この時期はミスが出てもいい
今季、ジュビロ磐田から完全移籍で加入した大久保嘉人は、45分3本で組まれた練習試合の1本目に出場。キャプテンマークを巻き、チームの先頭に立って、声を張り上げた。ただパスを要求するだけではなく、若い選手たちに助言しながら、プレーしていた。
国見高校の大先輩でもある永井秀樹監督からは、ピッチ内での"指導役"も託されているという。
「この時期はミスが出てもいい。やろうとしていることができれば、素晴らしいチームになると思う。やり続けていくことが大事。いまは楽しみしかない。いいところはあるから。まだ完成度は高くないですけどね」
格上の川崎Fに押し込まれる時間帯は長かったものの、テンポよくボールを動かすこともあった。ただ、仕掛けのパス精度はいまひとつ。連係面のミスが目立ち、攻撃の形は思うようにつくれなかった。
「自分たちからミスしている。取られるな、というところにパスを出しているから」
川崎F時代に徹底してパスサッカーを仕込まれたエースの言葉は重い。それでも、悲観はしていない。むしろ、伸びしろのあるゲームメーカーには大きな期待を寄せていた。
「ジョエル(藤田譲瑠チマ)が肝なんで。あいつがチームを動かさないと。育てていきたい」
J1の歴代最多得点者が認める逸材は、2002年生まれの17歳。経験豊富な先輩に鍛えられ、キャンプでめきめきと成長している。藤田-大久保のホットラインが開通したとき、東京Vは怖い存在になりそうだ。
取材◎杉園昌之