上写真=サポーターとともに勝利の記念撮影。綱島悠斗のゴールが熱狂を呼んだ(写真◎J.LEAGUE)
■2024年10月19日 J1第34節(@味スタ/観衆27,886人)
東京V 2-1 浦和
得点:(東)綱島悠斗2
(浦)渡邊凌磨
「どこに向かってドリブルしていくのか」
右足とヘッド。東京ヴェルディを逆転勝利へ、そしてJ1残留へと導いた綱島悠斗の2発は、どちらも「豪快」と呼ぶにふさわしい。
前半に先制されて迎えた59分、まずは右足のミドルシュートだ。
「前半からこぼれ球が自分の前に来ていたので、いい形でボールが来たら足を振ってやろうと思ってました。そうしたら本当に自分のところにボールが転がってきて。時間もすごくあったので落ち着いてゴールを見たときに、ニアサイドが空いていたんです。1回落ち着く時間があったからこそ、うまくリラックスしてボールを蹴ることができたかなと思います」
続いて76分、188センチの長身を生かして、山見大登の右CKを頭で合わせた。
「谷口(栄斗)選手や翁長(聖)選手が、僕がフリーになるためにスペースを作ってくれた動きがあったおかげで、自分のところにドンピシャでボールが来て、いい場所で触れたのが得点につながった大きなポイントだと思います。ボールが良かったからこそ、インパクトを意識するだけでゴールを決めることができたので、周りの選手のおかげだと思ってます」
その「周り」は選手だけではない。取材の冒頭にこう切り出した。
「まずこの場を借りて一つ言いたいことがありまして、前節でケガをしてしまって、この試合にまず出場できるか危うい状態だったんです。でも、メディカルスタッフを含めて、 いろいろな人のご尽力があったおかげで試合に出場することができました。本当に周りの人に感謝したいです」
だから、絶対に勝ちたかった。先制されはしたものの、90分のうちの多くの時間で試合を主導していたのは東京Vのほう。3バックの右の綱島もビルドアップのフェーズでフリーの状態で持ち運べる機会が数多くあって、浦和の守備の甘さを見逃さずに突いていくことで、攻撃のリズムを作ることにも貢献した。
「自分のところにプレッシャーがかかってきたら、サイドバックやその一つ前のシャドー、さらにフォワードのところが空いてくるので、 常に意識していました。そこでフリーで持ち上がったからこそいろいろな選択を出せたし、どこに向かってドリブルしていくのかも考えながらプレーできたからこそ、相手のサイドハーフを留めることができたと思ってます」
それを90分を通して表現できるようになったことが、安定した試合運びの基盤にあった。
「自分たちの狙い通りでもありましたし、奪いに来たら今度は空いたところを使うだけなので、常に頭の中でクリアに整理されてました」
だから、先制されても慌てなかったわけだ。
これで、J1残留が決まった。自らの2発と逆転勝利で決めたのは、気持ちがいい。
「まず、自分たちの手でJ1残留を決めることができたのはすごくうれしく思っています。ただ、残留が目的ではなくて、一つでも上の順位に行って、 ACLを狙えるところまで行きたいと思ってるんで」
残り4試合、どこまで高く登れるか。