上写真=酒井高徳(左)のシュートを武藤嘉紀(右)が押し込んで勝利をもぎ取った(写真◎J.LEAGUE)
■2024年6月16日 J1リーグ第18節(@国立/観衆49,541人)
神戸 1-0 川崎F
得点:(神)武藤嘉紀
オフサイドになっちゃったかなと思って
「あれはシュートです、はい」
酒井高徳が少し照れるように笑って明かした。43分の決勝ゴールのシーン。大迫勇也が右に展開し、酒井が右足を振ったのはパスではなくてシュート。
「相手のサイドハーフが自分についてくる反応が遅れたことが何回かあって」
相手の守備の緩みを見逃さなかった。だから最初のトラップで前に出て、「変に考えるより、思い切ってやったほうがいいと思って」脇目もふらずにシュートを放ったわけだ。細やかな駆け引きと大胆なキックのコンビネーション。
それが左に向かった先に、武藤嘉紀がいた。DFの背中側から潜り込んだ背番号11が、左足でがら空きのゴールにねじ込んだ。
「あそこにいるということが素晴らしい、の一言かな」
酒井はスコアラーをそう称えた。もちろん武藤も「酒井選手のことを信じて走り込んだ」と迷いはなかった。ただ、ゴールへと送り込んでもすぐには喜べなかったという。
「(ボールが)転がってきてほしいとは思ったんですけど、オフサイドになっちゃったかなと思ってあんまりすぐには喜べなかったです」
確かにVARチェックは長かった。暑さもあってその間も水分補給を十分にして、歓喜の瞬間を待った。
この日を迎えた時点で、首位のFC町田ゼルビアとは勝ち点で8の開きがあった。
「上位と離されるわけにはいかなかったので、今日は本当に今後を占うような試合だと思って臨んでいました」
ここからガンバ大阪、町田、鹿島アントラーズ、サンフレッチェ広島と上位陣との対戦が続いていく。ディフェンディング・チャンピオンとしては、中断明けのこの川崎F戦で勝つことを、上位決戦のブーストにすると誓って臨んだのだ。
「大舞台で強い方だと思っています」
武藤はそう胸を張った。49,512人の観衆が詰めかけた国立競技場も確かに大舞台だが、ここからの4試合こそまさに、連覇へ近づくための大舞台である。