首位のFC町田ゼルビアが7試合ぶりの黒星だ。6月1日の明治安田J1リーグ第17節でアルビレックス新潟を迎えたが、1-3で敗れた。ここ6試合を5勝1分けというハイペースで突き進んできたが、小休止。2週間後のリーグ再開に向けて、どんな改善を施すだろうか。

上写真=アシストの平河悠(左)と決めた藤尾翔太が称え合う。U-23代表コンビが示唆した改善点とは(写真◎J.LEAGUE)

■2024年6月1日 J1リーグ第17節(@Gスタ/観衆10,411人)
町田 1-3 新潟
得点:(町)藤尾翔太
   (新)小見洋太、藤原奏哉、オウンゴール

「気持ちは全員にあった」

 FC町田ゼルビアの同点ゴールは、U-23日本代表コンビから生まれた。先制されたわずか3分後の27分だ。

 アルビレックス新潟のCKを防いだあとのカウンター。藤本一輝が運び、引っ掛けられたが鈴木準弥が拾って左へ展開。平河がボールを収めると、相手は藤原奏哉1人だけだ。こちらは中央に藤尾翔太、逆サイドに仙頭啓矢が入ってきて、全部で3人。あとはどうやってシューターにボールを届けるか、だけだった。

「準弥くんからもらった時点で数的優位な状況だったので、得点にしないといけないシーンでした。難しい判断の中でしたが、股抜きを選択しました」

 右足に持ち替えて中に入ってから出すと、わずかに遅れが生じる。だから、縦に抜けてから左足で股下を抜く判断を選択した。

「あそこは股を抜いてくるだろうと思ってました。一番チャンスになるのは股下ですからね。だから、予測通りに一番いいパスが来ました」

 藤尾は平河の選択を称えた。藤原の股を抜けたラストパスを右足で確実に押し込んで、早々に同点だ。

 ところが、45分に藤原に決められると、52分にはオウンゴールを献上。1-3で敗れることになった。ここ6試合で5勝1分け、首位を快走してきたチームにとっては、久々の黒星になった。

 平河は首を傾げる。

「なんか、相手の方にボールが行ったり、 普段取れているシーンで取れなかったりとか」

 ボールを奪い切る強度の高い守備が持ち味のチームにあって、なぜかボールが奪えない。奪いきれずとも、いつもなら自分たちの方にこぼれてくるボールも、なぜか相手に渡ってしまう。そんな小さな「?」が積み重なっていって、気がつけば3失点していた。

「3失点とも、不用意というわけではないですけど、町田らしくない失点の仕方だったかな」

 1点目は小見洋太のパワーとスピードに後手を踏んでドリブルを止めきれず、一度は奪いかけたボールが小見の進行方向にこぼれる不運もあった。カバーに入ったチャン・ミンギュも鈴木準弥も寄せきれずに打たれた。2点目は縦パスをインターセプトされ、そのまま自分たちがいつもやっているように素早くラインの裏に運ばれた。谷口海斗のシュートはブロックしたものの、それが藤原の目の前にこぼれて決められた。3点目は秋山裕紀にFKをニアポストに向かって蹴り込まれ、チャン・ミンギュが頭で触ったもののそのままゴールに入ってしまった。

 黒田剛監督は「常勝チームはこういう試合で勝ち切るものですが、新参者であり、優勝経験のない選手たちが気の緩みを見せるようではまだまだという印象」とメンタル面でのスキを敗因の一つに挙げた。ただ、平河に言わせれば、いずれも「改善できる」種類の失点。そして藤尾も「気持ちは全員にあったし、球際も6割、7割は勝っていた」とピッチでのリアルを口にする。むしろ、駆け引きの問題だったという分析だ。

「僕たちが前、前とプレスをかけていく中で、相手のボランチが関わる枚数が多くなると、やっぱり2トップでは追いきれなくなる。そこからうちが修正しきれずに、中盤から終盤にかけて相手にやられたなと思います」

 そんな藤尾の解析からは、相手の変化に即応する力、そして自慢のプレスの整理と強化が求められることになりそうだ。

 リーグ戦はこれで中断期間に入る。首位を維持する難しさと向き合いながらの17試合を終えて、この黒星は小休止。平河と藤尾はU-23日本代表の活動に加わるが、ルヴァンカップ、天皇杯を経て、6月15日のリーグ戦再開でどんな改善を施してくるだろうか。


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