川崎フロンターレのセンターバック・佐々木旭が豪快なドリブルシュートを決めて、チームを6試合ぶりの勝利に導いた。5月3日の明治安田J1リーグ第11節浦和レッズ戦、1-1で迎えた49分にハーフウェーライン近くでボールを受けるとそのままスルスルと進み、右足で思い切り突き刺してみせた。

上写真=佐々木旭が最高のゴールで最高の笑顔!(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月3日 J1リーグ第11節(@U等々力/観衆23,457人)
川崎F 3-1 浦和
得点:(川)脇坂泰斗、佐々木旭、家長昭博
   (浦)大久保智明

「なんとしても取り返したいと」

「勝たせられる選手になるのが目標なので」

 佐々木旭が今季初ゴールで、チームを実に6試合ぶりの勝利に導いてみせた。1-1で迎えた49分、鮮やかな勝ち越しゴールをたたき込んでみせた。

 中盤でバフェティンビ・ゴミスが粘って粘ってキープ、落としたボールを橘田健人が左前に滑り込ませるようにワンタッチで送った。そこに走っていたのが佐々木。

「バフェが収めたときに周りのサポートいなくて、自分の前が空いてたので出ていったら、いいボールが来て」

 推進力は「自分の特徴でもあるから」と自信を持ってそのままドリブルを開始した。左外にはマルシーニョがいた。

「マルちゃんに出そうかと思ったんですけど、相手が結構早めにちょっと動いて」

 対峙するDFの細かな動きを見逃さない。それだけ冷静だった。ドリブルのコースを少し中に変えてゴールへ一直線、ペナルティーエリアに入ったところで右足を躊躇なく振った。

「後半の入りでしたし、思い切って打ったら入ったので良かったです」

 力の乗ったボールは、名手GK西川周作の手を弾いてゴールに飛び込んだ。

「よくチームの勝利がうれしい、って言うじゃないですか。点を取った人の気持ちが分かりましたね。やっぱり自分の点よりもチームが勝てたことがすごくうれしい」

 そして、こう続けた。

「何よりも、なんかホッとする感じがすごい大きいです」

 意外にも、シュートのパワフルさとは大きなギャップのある、柔らかな安心感に包まれていた。

 鬼木達監督もこの一撃を称える。

「本当に素晴らしいゴールだったと思います。僕自身はセンターバックがドリブルで行くのが大好きなので、あそこまで行けるんだったらみんなに行ってほしいぐらい。最後はパスを出すかなとも思いましたけれども、相手をよく見ながら決めてくれたと思います」

 佐々木にとっては強い思いのこもったゲームだった。前節のサンフレッチェ広島戦では2-2で引き分けたが、失点は自身の責任だと痛感していたから。

「広島戦では自分のところで2失点してしまって、ここでなんとしても取り返したいと思っていました。今日も失点はしたけど、勝ちに持っていけたので良かった」

 そんな攻撃面だけではなく、鬼木監督が言及するのは守備での貢献だ。

「積極性も非常に良くて、点を取ると攻撃にフォーカスされますけども、守備の面でも今日はしっかりやってくれて、センターバックだけではなくて最後はサイドバックをやったりと難しい対応をよくやってくれました」

 2-1としたあとに浦和の攻撃の強度が高まり、選手を交代させながら対応したとき、佐々木は最後に左サイドバックでプレーした。守備陣に負傷者が続出する今季、中央でもサイドでもプレーできる佐々木のマルチな才能にいまスポットライトが当たっている。

「どこで出ることになっても100パーセントの力を出して、チームの勝利に貢献できるようにという思いでやってます」

 あの目の覚めるようなゴールは、そんな生真面目さがもたらしたのかもしれない。

 ところで、このゴールには吉兆があったと明かすのが、鬼木監督である。

「前日の練習の最後にシュートをバシッと決めていて、手応えがあったんじゃないかな」

 その通りだった。佐々木もうれしそうに振り返る。

「前日の練習が終わったあとにフォワードの選手がシュートを打つんですけど、ちょっと自分も2本くらい打たせてもらったんです。そこで結構いいシュートを打てていて、そのイメージがあったので、今日もなんか思い切って打ってみようと」

「1年で5点は取りたい」と思いながらプレーしているのだという。まずは1点を取った。これからは試合前日のシュート練習がルーティーンになりそうだ。


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