AFCチャンピオンズリーグ準決勝・第2戦(東地区)が24日行われ、横浜F・マリノスと蔚山現代が対戦。幸先よく得点して前半のうちに合計スコアで逆転した横浜FMだったが、退場者を出し、蔚山の猛攻を受けると、合計スコア3−3とされて延長戦へ突入。それでも決着がつかず臨んだPK戦では蔚山が1人失敗したのに対し、横浜FMは5人全員がきっちり決め、勝利をつかみ取る。現行のフォーマットになって初めてACL決勝進出を決めた。

上写真=再三の好守でチームを救ったポープ・ウィリアム、決勝PKを決めたエドゥアルド(写真◎Getty Images)

■2024年4月24日 AFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦(@横浜国際)
横浜FM 3−2 蔚山現代(韓国)
   3合計3(5PK4)
得点:(横)植中朝日2、アンデルソン・ロペス
   (蔚)マテウス・サレス、ダリヤン・ボヤニッチ

好守連発のポープ、PKでも4人目をストップ!

 序盤と終盤で全く展開が異なる試合になった。90分を通しての話ではない。前半の序盤と終盤で全く異なる状況になったのだ。

 前半の、序盤。横浜FMは気迫と闘志、そして攻めの姿勢をピッチで表現してみせた。敵地で行われた第1戦に0−1で敗れ、90分で決勝進出を決めるためには2点差以上の勝利が条件だったが、スタートからギア全開。

 4−3−3の陣形でラインを高く設定し、コンパクトな陣形を保って前から相手にプレッシャーをかけていく。セカンドボールにも素早く反応。球際の争いで上回り、素早く攻めに転じて蔚山ゴールに迫った。

 ケガから復帰を果たしたエウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテスの3トップに加え、インサイドハーフの植中、ナム・テヒが鋭く縦を突いていく。幅も使って相手を揺さぶり、横浜FMがペースを握った。

 その攻めの姿勢が実を結んだのは、13分のこと。ヤン・マテウスの右クロスをA・ロペスがスルーし、ナム・テヒのトラップが流れたところに誰よりも早く植中が反応。右足で蹴り込んで横浜FMが先制した。

 さらに21分。A・ロペスのシュートのこぼれ球をヤン・マテウスが拾ってエウベルとパス交換。ボックス外で再びボールを引き取ったA・マテウスがタイミングを外してシュートを放ち、ボールをゴール右隅に送り込んだ。

 早々に2点を記録し、2試合合計で2−1と蔚山を逆転した横浜FMは30分にも1点を加える。植中が目の覚めるようなミドルシュートをねじ込み、合計3−1とリードを広げた。

 だが、『前半の終盤』、状況は一変する。35分、相手の左CKの場面でマテウス・サレスにヘディングシュートを決めらると、39分、予期せぬ事態に陥った。オム・ウォンサンに裏に抜け出され、CBの上島が慌ててボックス内でスライディングして対応。体が完全に寝た状態になっているところで切り替えされ、上島が伸ばしていた手にボールが当たってしまう。

 アリレザ・ファガニ主審は迷わずPKの判定を下し、同時に上島にレッドカードを提示。リードを奪ったはずの横浜FMは一転して大きなピンチを迎えた。

 ダリヤン・ボヤニッチに冷静にPKを決められ、2試合合計3−3と追いつかれ、しかも以降は1人少ない状況での戦いを強いられることになった。

 前半の残り時間を何とか耐え切った横浜FMだったが、後半を迎えるとますます防戦一方になる。前にボールを送ることができず、自陣でプレーする時間が長くなった。

 49分にボヤニッチに決められたシュートはルドウィグソンがオフサイドの位置にいたために取り消され、一方、横浜FMも63分にヤン・マテウスが決めたヘディングシュートはオフサイドの判定。ほぼ自陣でプレーしていた横浜FMにとっては後半最初のチャンスだったが、ゴールは認められなかった。

 アディショナルタイムの7分を経てもネットは揺れず、試合は延長戦に突入する。よりオープンな展開になり、延長後半にはボックス左で水沼が決定機を迎えたが、シュートは相手GKチョ・スヒョクの好守に防がれた。

 114分にはマルティン・アーダームにボックス内からシュートを打たれる場面もあったが、ポープが触って辛くもCKに逃れる。直後のCKの流れからもキム・ミヌにシュートを許したが、オフサイドの判定で事なきを得た。横浜FMは押し込まれても、ぎりぎりのところで失点を回避し続けた。

 結局120分でも勝負はつかず、試合はPK戦に突入。先攻の蔚山がマルティン、ケルヴィン、コ・サンボム、イ・チョンヨンの4人が決め、後攻の横浜FMもA・ロペス、水沼、松原、天野が決める。迎えた蔚山の5人目、キム・ミヌのキックをポープが左に飛んでストップ。そして決めれば決勝進出が決定する重要な横浜FMの5人目、エドゥアルドは、高い集中力でど真ん中に蹴り込み、成功してみせた。

 第1戦を落とし、攻めるしかなかった横浜FMは狙い通り得点を重ねたが、退場者を出し、最後は守り抜く戦いを強いられた。こうした状況の変化に対応し、戦いきったことが決勝進出につながったのだろう。横浜FMは現行のフォーマットになってから初めて、ACL決勝へ駒を進めた。

 決勝第1戦は5月11日(第2戦は5月25日)。西地区を勝ち上がったアルアインとホーム・アンド・アウェーで対戦する。

▼出場メンバー
・横浜FM◎GKポープ・ウィリアム、DF松原健、上島拓巳、畠中槙之輔、永戸勝也(105分:天野純)、MF植中朝日(62分:加藤蓮)、榊原彗悟(81分:水沼宏太)、ナム・テヒ(46分:山根陸)、FWヤン・マテウス(81分:宮市亮)、アンデルソン・ロペス、エウベル(46分:エドゥアルド)


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