上写真=山内翔がうれしいプロ初ゴールで神戸の勝利に貢献(写真◎J.LEAGUE)
■2024年4月13日 J1リーグ第8節(@国立競技場/観衆39,080人)
町田 1-2 神戸
得点:(町)ドレシェヴィッチ
(神)山内 翔、武藤嘉紀
アディショナルタイムに最高潮
町田は昇格初年度で首位をキープ、神戸は5ポイント差の5位。シーズン序盤とはいえ、国立競技場で行われたこの一戦は、今後の上位争いを占う注目のゲームになった。
どちらもGKが前節の退場により出場停止、町田は平河悠と藤尾翔太がU-23日本代表の活動に参加し、神戸は絶対エースの大迫勇也が欠場と、それぞれがここまでの戦いからの変化が求められる一戦になった。
変化の振れ幅で言えば、神戸のほうが大きかったかもしれない。基本の4-1-2-3の並びに微調整を加え、町田と同じ4-4-2に近い布陣をベースに組んできた。大迫が不在ということもあり、町田と似たような立ち位置で迎え撃った。
序盤は町田が現在の勢いに乗じて相手陣内でプレーしながらも、徐々に神戸が押し返していく展開に。そこで立ちはだかったのが、J1初出場となった町田のGK福井光晴だ。22分の佐々木大樹のフィニッシュをセーブし、27分にFKからの武藤嘉紀のヘディングシュートも右に跳んでかき出した。
だが、その牙城を崩すのが神戸の強さなのだ。45分、宮代大聖が左から右へと持ち込み、ヒールパスでスクリーン、受けた武藤のシュートはブロックされたが、この日がJ1初先発の山内翔がこぼれ球をそのまま右足で蹴り込み、神戸が先制する。
後半は町田が連続してチャンスをつかんで反撃の意志を鮮明に押し出すと、60分には安井拓也と荒木駿太を投入してフレッシュさを加え、オ・セフンの高さを存分に生かした攻撃の割合を高めていった。
しかし、高強度のバトルなら、神戸もお手のものだ。空中戦の競り合いでも、こぼれ球の回収でも強さを発揮してはね返していく。86分に町田のロングスローのこぼれ球から荒木が放った強烈なシュートは、GK新井章太が鋭く反応して弾いた。
すると、神戸も負けじとセットプレーで物を言わせた。89分、初瀬亮の左CKを武藤が中央で受けると、左足でたたいたボールはバーに当たって転がり込んだ。
だが、国立競技場が最大の盛り上がりを見せたのはここから。90+6分、町田が左からのクロスをドレシェヴィッチがゴール前で受けると巧みに相手を右にかわして右足で蹴り込み、1点差に。さらに押し込んで場内のボルテージが上がると、最後の最後まで得意のロングスローを連発してゴール前にボールを送り込んだ。
しかし、このままタイムアップ。現チャンピオンがJ1の貫録を示す形で勝利を収めた。吉田孝行監督は「セカンドボールやロングボールに対して、やるべきことをやった」ことを大きな勝因に挙げた。
一方で今季2敗目で首位を明け渡した町田は、黒田剛監督がチャンスを生かしきれなかったことを悔やんだ。
「球際やチャンスの量でいうとほぼ互角かなと思いますが、決める・決めないのところのスキルを高めていかなければ。王者たるものはスキルを持っていて、J1に残り続けるには必要な要素」と引き締め直した。