明治安田J1リーグは連戦中。4月3日には第6節が行われ、FC町田ゼルビアの首位は変わらなかったものの、サンフレッチェ広島が2位に浮上してきた。ここで注目したいのが、勝ち点で2位に並ぶセレッソ大阪だ。小菊昭雄監督の積極采配で選手たちが生き生きとプレーしている。

上写真=レオ・セアラのゴールに喜びをともにするC大阪の選手たち。誰もが躍動している(写真◎J.LEAGUE)

柴山昌也、北野颯太の同時投入

「90分、お互いのスタイル、カラーが出て、強度の高いエキサイティングなゲームができたと思います」

 セレッソ大阪の小菊昭雄監督はこう振り返った。柏レイソルと1-1で引き分けた一戦は、立ち上がりから最後まで息もつかせぬ攻防が繰り広げられた。

 まずはホームの柏が前線からの激しく、連動したプレスでC大阪に思い通りにボールを動かすスキを与えない。それでも、先制したのはC大阪だった。

 14分、登里享平の抜け目ないロングパスで左サイドを抜け出したカピシャーバの折り返しに、レオ・セアラが飛び込んだ。ところが、マークについていた古賀太陽が引き倒していて、VARの検証を経てPKに。これを19分にレオ・セアラが確実に決めた。

 柏の反撃も早かった。試合の主導権を握っていた勢いそのままに、失点の1分後、敵陣に押し込んで奪ったボールから、これがJ1初スタメンとなった島村拓弥がペナルティーエリア内にドリブルで切れ込み、冷静に折り返したボールをマテウス・サヴィオが蹴り込んでいる。

 30分を過ぎたころからC大阪もリズムをつかむ。きっかけは左サイドバックの登里で、中へ入ってビルドアップに加わるとパスがつながりだし、右サイドのジョルディ・クルークスを起点にしてチャンスを作っていく。

 1-1で終えた前半から双方ともメンバーを変えずに後半に入ったが、57分という早い時間に先に動いたのはC大阪だ。この日の4-3-3システムにおいてインサイドハーフでプレーしていた奥埜博亮、ヴィトール・ブエノに代えて、21歳の柴山昌也、19歳の北野颯太を投入したのだ。柴山は細かいタッチの切れ味鋭いドリブル、北野は勘の良い動き出しと得点感覚に優れる、若く攻撃的なタレントである。

 この采配に、C大阪の姿勢がはっきりと現れているのではないだろうか。

 ビハインドを負っている状況でもなく、多くの時間が残っているタイミング。それでも、ともにプレーの強度という点ではまだ十分とは言えない2人を送り出したのは、伸びやかな個性を生かして追加点を狙え、という小菊監督の強いメッセージになっただろう。果たして、投入の4分後には、登里の意表を突いた中央突破のドリブルからバイタルエリアの狭い局面で柴山がパスを受け、DF2人の間を割るシュート、GK松本健太の正面を突いてしまったが、決定機を作り出している。

 小菊監督の攻撃的な采配はさらに力を増していく。67分に左サイドのカピシャーバに代えて山田寛人、83分にはレオ・セアラ、クルークスに代えて渡邉りょう、上門知樹を投入した。これで攻撃の活性化を図ると、88分にチャンスを迎えた。

 上門、山田のコンビで左サイドを崩して山田がクロス、逆サイドの柴山がヘッドで折り返すと、北野がターンして左足でシュートを放っている。相手の懸命のブロックにこれも得点にはならなかったが、交代選手4人で作ったこの一連の流れは、指揮官の積極策がゴールへの推進力をもたらしたことを示している。 

「柴山、北野は若く攻撃的な選手で、守備が得意ではないと思われているかもしれませんが、守備の部分でも成長しており、不安はありませんでした」

 小菊監督がこう話して胸を張ったように、柏の鋭いカウンターを受けることもありながら、ディフェンス陣が体を張って守り、GKキム・ジンヒョンの好セーブもあって柏の追加点も許さなかった。1-1の引き分けに終わりはしたが。より攻撃的な布陣にすることで、主導権を握って狙い通りのサッカーを展開できたという実感がこもっていた。攻撃は最大の防御、である。

 こんなふうに、とにかく「勝ち点3」を目指す采配が今季のC大阪の好調を支えている。ここで勝ち点3を手にしていれば、この日、首位のFC町田ゼルビアがサンフレッチェ広島に敗れたためC大阪は首位に立っていたはずだった。引き分けたために広島に勝ち点で並ばれ、得失点差で3位となったが、首位との勝ち点差は1に縮まっている。

 まだ6節を終えたに過ぎないが、C大阪は上位争いをするにふさわしいプレーを見せている。すべての試合でゴールを記録しているのは町田、東京ヴェルディとわずか3チームだけで、そのうち4試合が複数得点。さらに3勝3分けと黒星がなく、これも広島とガンバ大阪と3チームだけと安定感は抜群だ。

 香川真司や清武弘嗣といったスターは欠場しているものの、若い攻撃陣の躍動、スタートからプレーした外国籍選手たちの充実ぶりが目覚ましい。さらには、今季加入した登里やアンカーを務める田中駿太の存在も際立っている。この2人の加入はチームに安定感を与えており、効果的で的を射た補強だった。

 今後も優勝争いを続けるだろうC大阪から目が離せない。

文◎国吉好弘


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