3月16日のJ1第4節で、アルビレックス新潟は東京ヴェルディとのアウェーゲームを戦った。一度は逆転に成功するものの、終盤に追いつかれて残念なドロー。それでも、U-23日本代表にも選ばれた小見洋太は、いまがむしゃらに進化している姿を見せた。

上写真=小見洋太は今季、強くて軽い体を手に入れて躍動している(写真◎J.LEAGUE)

■2024年3月16日 J1リーグ第4節(@味スタ/観衆17,055人)
東京V 2-2 新潟
得点:(東)山田楓喜、翁長 聖
   (新)谷口海斗、長倉幹樹

堀米悠斗のアドバイス

「そうですかね、自分では分からないんですけど」

 と小見洋太は話して、ニヤッと笑った。首が太くなったのではないですか、という問いかけに対して、うれしそうだった。

 オフに筋力アップを図った。昨年、アジア大会のU-22日本代表の一員としてプレーして、個で戦えなければ勝ち残っていけないと痛感した。そこから逆算して、筋力トレーニングに勤しんだ。「上半身は目に見えて大きくなったと感じますけど、数値を見ると全身バランスよく鍛えられています」と、その厚みを増した胸を張った。手に入れたのは、理想的な細マッチョの体躯。その成果で軽やかにプレーできているという。

「キレは自分でも感じていますし、その上で当たり負けもすることがないですし、デュエルのところで勝ってマイボールにして攻撃につなげる回数は、昨年よりさらに増している実感はあります」

 強くなった体で局面で勝つことができると、動きも幅広くなる。オリジナルポジションは左サイドハーフだが、ときにトップ下、ときにFW、あるいは右ウイングのような位置にまで潜り込む神出鬼没。相手を惑わせながらチャンスをうかがっている。

 その自由奔放さにはリスクも伴うが、仲間たちが支えてくれる。

「自分はもともとフォワードなので、中でプレーしたい思いがあります。そういうときには、フォワードやトップ下、ファーサイドの選手がうまく左に入ってバランスを取ってくれるんです。ゴールに近いところでプレーする意図を持っていて、そこのバランスはお互いを見ながらうまくできている感じです」

 FWの谷口海斗、トップ下の高木善朗が小見の意図を汲んで左サイドをカバーする。もちろん、左サイドバックの堀米悠斗もサポートする一人。

「いてほしいところにいないときはありますけどね」と堀米は笑うが、これまでも本間至恩や三戸舜介を左サイドハーフとして自由にプレーさせ、いわば「育てて」きた経験があるから、小見のアクションも織り込み済みだ。

「そういう時間があってもいいと思うので、絶対ここにいろっていう風には言いたくないです。そういう、ちょっとイレギュラーなところにポジションを取っている中で、僕自身がその最適解を探してあげるというか、距離感だったりサポートのために裏に走ったりしています」

 堀米には小見の意図ははっきりと分かるのだという。だから、どうすればプレーが進化するのかも指摘できる。

「小見ちゃんはどこでもプレーできる選手で、数的優位を作りたいのだろうから、その人数が多くなったところで崩せばいいと思います。ただ、落ちてくるタイミングや、自分のちょっとした動きによって相手が食いついてくることが、自分と相手だけじゃなくて、僕やほかの選手の存在を感じた上で動くと、もっと効果的になるんじゃないかな」

 堀米が言うまさにそのプレーは、逆転ゴールのシーンに見ることができた。3人交代によって右サイドハーフに移ってすぐあとの69分、目の前の谷口栄斗がボールを持ったときに外のコースを切りながら寄せてバックパスを選択させた。するとそのパスが弱くなり、長倉幹樹がかっさらってそのまま蹴り込んだ。まさに、相手をよく見て、仲間の存在を感じた上でのコース切りだった。

「狙い通りというか、相手2枚を1人で見るというところはイメージがあったので、うまくはまったなって感じでした」

 小見にとっても納得のプレーだったが、試合はその後に同点とされて、2-2のドロー。2試合連続フル出場を果たしたものの、不完全燃焼のラストになってしまった。

 この前日には、U-23マリ代表、U-23ウクライナ代表と親善試合を戦うU-23日本代表に選ばれた。パリ・オリンピック予選が控える時期の大事なゲームを前に、結果を残したかったのは事実だ。

「足りないのは、本当に最後のところ。個人のプレーはやれることも増えてきてはいますけど、やっぱり結果が出ていないので、そこはもっと数字で示していかなければ」

 同じU-23日本代表に選ばれた東京Vの山田楓喜には、目の前で先制のFKを決められた。FC東京の荒木遼太郎もアビスパ福岡を相手に今季3点目を決めて勝利に貢献した。ライバルは多い。だが、小見だからこそできることがある。それを、どの試合でもコンスタントに見せることができるようになっているのは、その太い首と同じように進化の証だ。


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