8月12日の明治安田生命J1リーグ第23節で、川崎フロンターレが首位のヴィッセル神戸を迎えたビッグマッチ。なかなか動かなかった試合は37分に川崎Fに退場者が出て、直後に神戸が先制してから様相が変わった。後半も一人少ない川崎Fが押し込んだものの、神戸が逃げ切って首位をキープした。

上写真=大迫勇也がFKを直接決めて、神戸が敵地で勝ち点3をもぎ取った(写真◎J.LEAGUE)

■2023年8月12日 明治安田生命J1リーグ第23節(@等々力/観衆20,845人)
川崎F 0-1 神戸
得点:(神)大迫勇也

画像: ■2023年8月12日 明治安田生命J1リーグ第23節(@等々力/観衆20,845人) 川崎F 0-1 神戸 得点:(神)大迫勇也

「川崎さんはさすが」

 鋭くきれいなヴィッセル神戸のカウンターが、命運を決めた。

 川崎フロンターレの攻撃を止めてクリアしたボールが、センターサークルへとこぼれる。大迫勇也が2人のDFよりも先に反応して触って、すかさず左へ展開した。ジェアン・パトリッキが自慢の快足を飛ばしてゴールへ向かったところで、大南拓磨が足をかけてしまい、ファウルの判定になった。

 西村雄一主審はPKを宣告したが、VARチェックにより覆り、ファウルの位置がペナルティーエリアの外だとしてFKに変わった。同時に、ファウルを犯した大南拓磨に与えられた警告も、得点機会阻止で退場処分へと変更になった。

 神戸はこのFKの場面で、大迫がキッカーに。右足を振ると、6人で作る壁を超えたボールがきれいにゴール左に飛び込んでいった。吉田孝行監督も「試合で蹴ったのは初めて見た」という意外な一撃で自身の今季17ゴール目を生み出し、神戸が先制した。

 川崎Fにとっては、退場処分で1人少なくなり、さらに先制ゴールも浴びて、泣きっ面に蜂。前半は神戸のもたつきを尻目に左右にボールを動かしながら主導権を握っていただけに、ダブルパンチを食らった格好だ。

 だが、その川崎Fは後半、1人少ないのにもかかわらず、猛攻を仕掛けるのだ。出足の鋭さは衰えずに神戸を上回り、敵将の吉田監督も「川崎さんはさすが、一人少なくなっても質が高く、脅威になった」と素直に認めるしかなかった。

 それでも、77分の左からの折り返しにフリーで合わせた脇坂泰斗のシュートは枠を外れ、アディショナルタイムのマルシーニョのシュートはブロックされ、そこで得たCKに高井幸大が合わせたもののわずかに左へ。どうしても1点が決まらない。

「後半、押し込まれるシーンもあったが、そこを耐えてくれた」と選手をたたえたのは吉田監督。逆に川崎Fの鬼木達監督は、失点に至る一連のシーンを悔やんだ。

「やっぱり言い続けているリスク管理のところですね。大迫選手のところに2人いたので、先に触られてはいけない。あそこに入ると周りの選手がスピードアップすると言ってきたけれど、相手の狙っているところでやられてしまった」

 ほんの一瞬で個のパワーを全開にして得点に結びつけた神戸。継続して持ち味を出したにも関わらず、守りきられた川崎F。この差が「首位の強さ」ということなのだろうか。


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