7月16日、明治安田生命J1リーグ第21節でFC東京が鹿島アントラーズを迎えた一戦は、鹿島が逆転勝利を手にした。暑さで足が鈍るどころか、局面で相手を上回り続けて、先制を許しながらも前半のうちに逆転すると、後半開始早々に突き放して3-1の勝利。4試合ぶりに白星をもぎ取った。

上写真=鈴木優磨が豪快にヘッドで決めて、鹿島が同点に(写真◎J.LEAGUE)

■2023年7月16日 明治安田生命J1リーグ第21節(@味スタ/観衆37,014人)
FC東京 1-3 鹿島
得点:(F)ディエゴ・オリベイラ
   (鹿)鈴木優磨、垣田裕暉、ディエゴ・ピトゥカ

画像: ■2023年7月16日 明治安田生命J1リーグ第21節(@味スタ/観衆37,014人) FC東京 1-3 鹿島 得点:(F)ディエゴ・オリベイラ (鹿)鈴木優磨、垣田裕暉、ディエゴ・ピトゥカ

「よりシンプルに伝えて試合で出せるように」

 4日前の天皇杯ではJ2クラブにPK戦にまで付き合わされた両チーム。FC東京は東京ヴェルディに勝ち、鹿島はヴァンフォーレ甲府に敗れたという違いはあるが、メンバー変更もあったとはいえ、夏場の苦しい時期の連戦で気力と体力をどうコントロールするか。

 だが、お構いなしだった。ピーター・クラモフスキー監督が指揮を執ってから、これがJ1で4試合目。球際の強度と切り替えの早さで盛り返して、2勝1分けだ。FC東京は安部柊斗がベルギーに渡る前のラストマッチだということも合わせて、序盤から遠慮なく戦いに出た。

 受ける鹿島アントラーズも同様だ。むしろ、球際と切り替えなら自分たちの土俵である。

 松木玖生の左からの折り返しをディエゴ・オリベイラが中央で受け、鮮やかな反転から流し込んでFC東京が先制したのが、わずか9分のこと。早々にスコアが動いたことでバトルはさらに白熱した。23分に左CKから鈴木優磨が豪快にヘッドで突き刺せば、45分には左から安西幸輝のクロスが逆サイドへ、ここから樋口雄太が送った右からのシュート性のクロスで揺さぶって、垣田裕暉がヘッドで押し込み、鹿島が逆転してみせる。

 これはつまり、「球際と切り替えのその先」の争いだということだ。どちらも監督交代をきっかけにして、フットボールの基本をもう一度掘り起こす戦いで復調してきた。その意味では似た者同士。

 そんな意地のぶつかり合いを制したのは、鹿島だった。後半が始まって間もない54分、中盤で松木から奪いきった仲間隼斗が左へ、鈴木がキープすると、その外側を猛然と追い越した安西へ送り、マイナスの折り返しに仲間がシュート、これはGKヤクブ・スウォビィクがセーブしたが、こぼれ球をディエゴ・ピトゥカが弾丸シュートをたたき込み、突き放した。

 このゴールは「球際と切り替えのその先」の象徴だったかもしれない。奪った瞬間からの連続性、安西のダイナミズム、折り返しの一瞬に備えてペナルティーエリアになだれ込む仲間、垣田、樋口の連動。単発の攻撃に終始したFC東京は、「その先」を何にするのかを表現しきれなかった。

 鹿島の岩政大樹監督はこの点について、「すごく難しい局面だった」とこの試合を定義していた。リーグで3試合勝ちがなく、天皇杯で甲府に敗れたことも含めて、どう反発して上がっていくか。

「チームとして数試合、勝てないときでも取り組んでいることがあって、その間も一つひとつは出ていたけれど、シーズン中に取り組むと粗が出てくることがあるんです。でも、近い将来、優勝に届くために取り組まなければいけないことで、結果に結びつかないから疑心暗鬼になったこともあるかもしれないので、今日はどのようにアプローチするか悩みました。蹴って走ってとりあえず勝っておけ、ということだと先につながらないので賭けでしたが、よりシンプルに伝えて試合で出せるようにと願って臨みました」

 3-1の快勝が、その果実なのだった。


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