J1リーグ第13節、FC東京対川崎フロンターレが国立競技場で行われた。『Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ』と銘打たれた多摩川クラシコは、ホームのFC東京が2−1で川崎Fを下し、勝利。記念すべき試合でダービー連敗を止めた。

上写真=先制ゴールと安部の得点をアシストした徳元悠平(右/写真◎J .LEAGUE)

■2023年5月12日 明治安田生命J1リーグ第13節(@国立競技場/観衆56,705人)
 FC東京 2−1 川崎F
 得点:(F)徳元悠平、安部柊斗
    (川)宮代大聖

対川崎Fの連敗を7でストップ

 今季の多摩川クラシコは『Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ』第1弾として開催された。1993年の開幕当時、両チームはともにまだJリーグ加盟前で、それぞれ前身である東京ガス・サッカー部、富士通サッカー部としてJFL(ジャンパンフットボールリーグ)を戦っていた。Jリーグ参戦はその6年後の99年。だが、30年の歴史を彩ってきた『対戦』の一つとして多摩川クラシコが栄えある記念試合に選ばれた。

 順位を見れば、FC東京は11位、川崎Fは6位と上位対決ではなかったものの、そこはやはりダービー。5万6705人の大観衆が見守る中で、試合は前半から複数のゴールが生まれる激しいものになった。

 先制したのは、ホームのFC東京。12分、長友の右からのクロスが流れたところを大外で構えていた左サイドバックの徳元が拾い、カバーに来た家長をかわしてボックス左横から進入。思い切りよく右足を振り抜き、逆サイドのネットにシュートを突き刺した。

 今季加入の徳元にとって移籍後初ゴールであり、J1初ゴール。勢いに乗った左サイドバックはさらに得点に絡んでみせた。25分、先制点同様、右サイドから回ってきたボールをボックス手前で受けると、今度は縦に鋭く進入。左足で相手GKの鼻先に速いボールを送って、安部の追加点をお膳立てした。

 序盤から攻撃の局面になるとFC東京がピッチの幅を広く使ってボールを動かし前進する一方で、川崎Fはミスから攻撃が詰まる場面が散見した。前半30分を過ぎ、ようやくパスにもテンポが出てきて、39分に瀬古の縦パスを受けた宮代がボックス内で囲まれながら鋭く右足を振り抜いて1点を返したが、その後も流れを完全に引き寄せることはできず。後半早々の52分には脇坂が危険なタックルを仲川に仕掛けて一発退場。川崎Fは以降、40分近い時間を一人少ない状態で戦うことなってしまった。

 大島、遠野を投入したことでボールの循環をいくぶん改善させた川崎Fだったが、一人少ない影響か、自陣でボールを奪われる回数が多く、敵陣まで前進しても、そこから先はFC東京の守備ブロックの外側をなぞるようにボールを動かすばかりになった。78分に大南の浮き玉パスに途中出場の遠野が合わせるが、これは相手に防がれてしまう。こぼれ球に反応した山根のシュートも枠を外れた。

 試合は結局、そのままFC東京が押し切り、2−1で勝利。近年は川崎Fが7連勝中で9試合負けなしだったが、負の歴史にピリオドを打ち、久々に白星をつかみ取ることになった。

「我々は新国立競技場では連勝し続けています。ここでは絶対に負けません。素晴らしい相手、ライバルに素晴らしい試合をした。彼らも素晴らしさを証明したと思いますが、前半、我々は素晴らしいプレーをし、後半もしっかり戦ったと思います。今日のように両チームが勝利を目指して戦う、このクオリティーの高いエンタテインメイント性の高い試合、それこそがJリーグが目指している戦いだと思います」

 ここのところ成績が安定せず、順位も下げていたFC東京のアルベル監督はそう言って胸を張った。ライバルに対する勝利が上昇にきっかけとできるか。

「(5年ぶりに川崎Fに勝利したが?)なかなか勝てない日々が続いていたということは川崎Fが素晴らしいクオリティーを持ち続けていた証明だと思います。我々は今、成長段階にあり、彼らのように安定した形でいい成績を収められるレベルにたどり着けるように努力をしている段階です」

 指揮官は成長への意欲も示した。少なくとも大舞台で、注目の一戦に勝ち切ったことはチームにポジティブな要素をもたらすに違いない。

▼出場メンバー
・FC東京:GKヤクブ・スウォビィク、DF長友佑都、木本恭生、森重真人、徳元悠平、MF小泉慶、東慶悟、安部柊斗、FW渡邊凌磨(73分:塚川孝輝)、ディエゴ・オリヴェイラ(60分:アダイウトン)、仲川輝人(88分:バングーナガンデ佳史扶)

・川崎F:GK上福元直人、DF山根視来、大南拓磨(90+7分:山村和也)、車屋紳太郎、登里享平、MF瀬古樹(59分:大島僚太)、ジョアン・シミッチ(82分:山田新)、脇坂泰斗、FW家長昭博(75分:橘田健人)、宮代大聖(75分:小林悠)、マルシーニョ(59分:遠野大弥)


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