上写真=3年ぶり5度目の優勝を飾った横浜F・マリノス(写真◎J.LEAGUE)
■2022年11月5日 明治安田生命J1リーグ第34節(@ノエビア/観衆22,949人)
神戸 1-3 横浜FM
得点:(神)武藤嘉紀
(横)エウベル、西村拓真、仲川輝人
水沼が伝家の宝刀で3ゴールに絡む!
2位の川崎フロンターレと勝ち点2差で首位の横浜FMはJ1最終戦に臨んだ。相手は神戸は前節川崎Fに1-2で惜敗したものの、それまで5連勝とシーズン後半になって調子を上げてきたチーム。アウェーでもあり、横浜FMにとっては決して簡単な相手ではなかった。
だが、横浜FMは引くことなく、アグレッシブな姿勢でプレーする。その姿勢が実ったのは26分。水沼が右からクロスを送ると、菊池にクリアされるが、こぼれ球にエウベルが反応。頭でプッシュし、先制点を奪った。
勝ち点差を考えれば、仮に引き分けて勝ち点で川崎Fに並ばれても得失点差により横浜FMの優勝の可能性が高い状況にあった。前節終了後に横浜FMの選手たちは「目の前の試合に集中するだけ」と話していたが、実際、神戸戦にスタートから集中し、良い入り方ができていた。
ところが、7分間あった前半のアディショナルタイムに失点してしまう。神戸の右サイドバック、酒井から送られたクロスを武藤に頭で触られ、逆サイドのネットを揺らされる。1-1の同点で残り45分間を迎えた。
後半の立ち上がりは神戸が流れを作る。テンポの良いパス回しで横浜FMの攻め気を削ぐと、51分にボックス内の中央から大迫がシュート。GK高丘の正面を突き、キャッチされたが、神戸にとってはビッグチャンスだった。その直後、今度は横浜FMが好機をつかむ。ボックスやや左で得たFKの場面。キッカーの水沼が低く鋭いボールを供給すると、GK坪井はキャッチできずに前に弾く。西村がこぼれ球をプッシュし、横浜FMが勝ち越しに成功した。
その後、神戸は小林祐に代えてイニエスタを投入。攻撃の活性化を図った。しかし、守備の強度でまさる横浜FMはボールを素早く回収して連続攻撃を仕掛け、神戸の目論見通りにはさせない。そして73分には神戸を突き放すことに成功する。右サイド深い位置に進入した水沼のクロスを途中出場の仲川が蹴り込んだ。
全員攻撃全員守備がピッチ上で実践される横浜FMは高い位置からプレッシャーをかけ、素早い切り替えで相手に攻めのチャンスを与えなかった。対照的に神戸は守備と攻撃が連動せず、低い位置で奪っても前線に蹴り出すこととなり、すぐさまボールを回収されて攻撃を受けることになった。
試合はそのまま横浜FMが押し切り、3-1で快勝。他会場では川崎FがFC東京を下したが、その結果に関係なく、自力で3年ぶり5度目の優勝を勝ち取った。
「このためにやってきたので、1年、いろんなことがありましたけど、みんなの喜ぶ顔を見たら…本当に感無量です。優勝に王手をかけてから少し時間がかかってしまいましたけど、年間を通して苦しいときも、みんなが一つになって逃げないで、ひたむきにやってきたので、こういうみんなの喜ぶ顔を見ると、本当に報われたなと思いますし、みんなに感謝したいし、心から「おめでとう」と言いたいです。信じる気持ちは常にお互い持ってきましたし、それがこのチームの強みで、誰もが仲間を、チームを信じてやってきたので、本当にみんなが報われてよかった。本当にみんなのおかげなので『おめでとう』と言いたいです」(喜田キャプテン)
終盤、残留争いの渦中にあるガンバ大阪、ジュビロ磐田に連敗を喫し、一時は8ポイント差あった川崎Fとの勝ち点差が2ポイント差まで詰まったが、最終戦で『これぞF・マリノス』というサイド攻撃と縦に速い攻撃、積極守備、そして何より強い結束を披露。最後は足踏みすることになったものの、シーズンを通してみせてきた強さを改めて満天下に示した。
■出場メンバー
・神戸:GK坪井湧也、DF酒井高徳、菊池流帆、小林友希(46分:マテウス・トゥーレル)、初瀬亮(80分:槙野智章)、MF山口蛍、大崎玲央、小林祐希(63分:アンドレス・イニエスタ)、武藤嘉紀(80分:ステファン・ムゴシャ)、汰木康也(74分:小田裕太郎)、FW大迫勇也
・横浜FM:GK高丘陽平、DF小池龍太、岩田智輝、エドゥアルド、永戸勝也、MF喜田拓也、渡辺皓太(90+1分:藤田譲瑠チマ)、水沼宏太(85分:ヤン・マテウス)、西村拓真、FWエウベル(70分:仲川輝人)、アンデルソン・ロペス(85分:レオ・セアラ)