AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージH組で、横浜F・マリノスは首位に立っている。残りは2試合。連勝して突破を決めるつもりだ。4月25日のシドニーFC戦でようやく自分たちのスタイルを数多く表現できるようになった。喜田拓也はそれを最後まで貫く。

上写真=喜田拓也はここまで2試合でフル出場。残り2試合で首位突破をつかみ取る(写真◎Y.F.M.)

「このスタイルで頂点まで」

「長い年月をかけてこのサッカーを信じ、貫いて、誇りに思って、自信を持ってやってきました」

 喜田拓也と横浜F・マリノスの選手たちは、退場者が出て10人になっても攻め続けた。自分たちのフットボールに対するプライドを貫き通した。

 4月25日のACL第4節シドニーFC戦。2-0でリードしていた64分に、角田涼太朗が退場処分を受けて10人で残り30分ほどを戦うことになった。しかし、守り倒したわけではなく、しっかりと相手の攻撃を止めてから、11人のときと同じ意志で追加点を目指し、87分にはアンデルソン・ロペスが本当にダメ押しのゴールを決めてみせた。

「ブレることはないですし、このサッカーをやめる気はサラサラないです」

 喜田拓也はさも当然と話す。このシドニーFC戦ではフル出場。ボランチのパートナーは山根陸で、ACL初出場となったから気遣いながらうまく導いた。10人になったあとも、厳しい守備から攻撃へのスイッチを入れるパスを配ってゲームをコントロールした。

「改めて、短い準備期間の中ですけど、自分たちはどうボールを運んでいきたいのか、誰がどこに立ってほしいのか、どういう崩しをしたいかを共有してきたので、表現できたシーンが多かったですし、チャレンジすることも多かったと思います」

 シドニーFCとは連戦となったが、前節からはフィールドプレーヤー10人が入れ替わりながらも、自慢のスタイルを表現しながら完勝した。ケヴィン・マスカット監督が常に口にする「自分たちのサッカーを貫く」の正しさを、誰が出ても証明することができた。

「厳しいアジアの大会だから全員の力が必要、というわけではありません。Jリーグのときもそうですし、常日頃から勝つために全員の力が必要だと言ってきました。建前でもきれいごとでもなく行動しているので、いざ厳しい戦いに身を置いたときにバタバタせずに全員が準備できて戦えることにつながっていると思います」

 過酷な環境に追い込まれたから結束する、という安っぽい一体感ではない。

「全員が同じ絵や共通意識を持つというのは、言葉でいうほど簡単ではなくて、ましてや足で行うサッカーはミスが起きるし簡単ではありません。1日や2日で準備できるものではなくて、日頃の準備から同じ方向を向いているから、こういうことにつながるんです。誰が出ても同じ絵を描けたり強さにつながる、それがマリノスの強みです」

 勝ち点9で首位に立ち、2位の全北現代とは勝ち点1差。連勝すれば首位突破できる。残り2試合はホアンアインザライ、全北現代との顔合わせだ。まずは、最初の対決で2-1で勝利を収めているホアンアインザライに確実に勝って、全北現代との最終決戦へ向かう。今大会では第2節で戦って0-1で敗れているだけに、リベンジ&首位通過を決めるしびれるゲームになりそうだ。

「このスタイルで頂点までいきたいという思いは、何一つ変わりません」

 喜田は最後まで貫く男だ。

【Next Game】
4月28日(木)20時 横浜FM vs ホアンアインザライ DAZN独占配信


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