上写真=ンダウ・ターラは自身の特徴を厳しい条件の中で生かそうと必死だった(写真◎J.LEAGUE)
■2022年3月18日 J1リーグ第5節(ニッパツ/6,689人)
横浜FM 0-0 鳥栖
得点者:(横)なし
(鳥)なし
納得のファーストプレー
「途中からでしたけど、点が入らない中で、ピッチに入ったら点を取って流れを変えてやろうと思って準備していました」
そのときは68分にやってきた。エウベルに代わって右ウイングに入ったのがFWンダウ・ターラ。プロ1年目の昨シーズンはFC町田ゼルビアに期限付き移籍、今季戻ってきて、ついにJ1デビューをつかんだ。
この試合の前に新型コロナウイルス感染症で陽性判定を受けた選手が出たこともあり、初のベンチ入り。ケヴィン・マスカット監督は「難しい状況の中でも選手たちがしっかり前を向いて、セレクトできる選手がいるのはいいこと」と日々の取り組みを評価した。ターラも「すべては試合に出るための練習や練習試合なので、いいイメージを持ちながら常にやっているつもりです」と当然のこととして受け止める。
「申し訳ないのは、せっかくのデビューの日にこういうコンディションの中でやらせることになったこと。苦いデビューになってしまったかもしれない」とマスカット監督は気遣うが、ターラ自身はそうは感じていない。状態が悪いからこそ、奔放さが生きる予感もあった。
「ピッチに入る前から、監督やコーチから裏を狙えっていけと言われていたし、それが自分の特徴の一つでもあるので、今日の天候では出しやすかったと思います」
最初から集中していた。「今日はファーストプレーは自分で良かったと思っています」と振り返ったのは、70分。渡辺皓太の浮き球のパスで右サイドを走り、ジエゴを肩で弾き飛ばして突破を図った。パワーとスピードを見せた一瞬だった。
だが、目標はゴール。0-0の引き分けは不服だ。
「デビュー戦でしたけど、自分としては結果を出したかった」
「もっと上のプレーを見せなければいけなかったので、質や特徴をもっと出せるように、途中からでも最初からでも、自分の特徴をチームのオーガナイズの中で生かしたい」
「スタートラインに立てたとは思いますけど、ピッチコンディションはどうあれ点がほしかったので反省すべきです。これからもっと試合に絡んでいきたい」
反省と欲があふれ出る22分とアディショナルタイム。豪雨のデビューは、今後のフットボールライフに大きな刺激となって支えてくれるはずだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE