上写真=先制ゴールをスコアし、喜びを全身で表現する西村拓真(写真◎J.LEAGUE)
■2022年3月2日 J1リーグ第10節(日産スタ/観衆13,801人)
横浜FM 2-0 神戸
得点者:(横)西村拓真2
・横浜FMメンバー:GK高丘陽平、DF松原健、實藤友紀、エドゥアルド、小池裕太(81分:永戸勝也)、MF藤田譲瑠チマ(62分:小池龍太)、山根陸、西村拓真、FW宮市亮(62分:水沼宏太)、アンデルソン・ロペス(71分:吉尾海夏)、仲川輝人(71分:エウベル)
・神戸メンバー:GK 前川黛也、DF山川哲史(69分:中坂勇哉)、槙野智章、小林友希、酒井高徳、MF佐々木大樹(54分:セルジ・サンペール)、山口蛍、扇原貴宏、郷家友太(54分:アンドレス・イニエスタ)、FW武藤嘉紀(17分:大迫勇也)、小田裕太郎(69分:リンコン)
総合力でミッションコンプリート
その瞬間、西村はひとり、浮いていた。38分。左CKの場面。ボックスの中央、少し入ったところにポジションを取った。他の選手たちは神戸の選手にマークに付かれていたが、西村だけがフリーの状態をつくっていた。
小池裕のアウトスイングのボールに合わせてタイミングよく飛び込む。そしてフリーでヘディング。シュートはワンバウンドしてゴール右隅へ突き刺さった。
ピンポイントでボールが届き、ここしかない場所にボールは飛んだ。開幕戦ではC大阪相手にセットプレーから2失点を喫し、勝ち切れなかった横浜FMだが、自らが苦しんだセットプレーで先制に成功した。
対する神戸も序盤は相手が攻め上がった穴を突き、チャンスをつくっていた。14分には左サイド深く駆け上がった小田のパスを受けた武藤がフリーでシュート。しかし、GK高丘の好守にあって得点はならず。こぼれ球を拾って再度シュートを放った際に武藤は守備に戻ってきた山根と接触し、負傷。交代を余儀なくされたことも神戸にとっては痛かった。
前半はそのまま横浜FMのリードで終了し、迎えた後半。神戸はフラットな4-4-2から中盤をダイヤモンド型にする4-4-2に変更して攻撃の活性化を図る。54分には郷家に代わってトップ下にイニエスタが入り、佐々木に代わったサンペールがアンカーを務めてボールが循環し始めた。55分に小田、66分に扇原が惜しいシュートを放つも決まらず。一方で横浜FMも素早い切り替えからのカウンターで神戸ゴールに迫っていった。
互いに選手を交代させながら、終盤は一瞬で攻守が入れ替わる展開になった。残り10分を切ってからも一進一退の攻防は続いたが、最後の最後にカウンターから1点をもぎ取ったのは再び横浜FMだった。山口のパスをカットした西村が左サイドの水沼につなぐと一気にボールを運ぶ。ゴール前まで走った西村がリターンを受け取り、ボックスに進入して右足でコントロールショット。2-0で横浜FMが難しい試合をモノにした。
相手は中3日。横浜FMは中2日。日程的にもきつい中、27日の柏レイソル戦から先発8人を替えてこの試合に臨んでいた。トップ下で先発した西村が先制ゴールとダメ押し点を決め、ボランチで先発した18歳の山根も、右サイドでスピードを発揮した初先発の宮市も、自らの仕事をきっちり果たした。柏戦で悔しい敗戦を喫し、連敗を避けたかったが、総合力でそのミッションを見事にコンプリートしてみせた。
「たくさんの良いところを見ることができた試合でした。選手一人ひとりがピッチ上でやらなければいけなかったことをやってくれた。アグレッシブさも全体で出してくれた。ナーバスな時間もありましたが、あれだけのパフォーマンスを見せてくれた選手たちを誇りに思います」
ケヴィン・マスカット監督はこれまでなかなか先発機会がなかった選手たちが見せた姿勢とプレーを称賛し、畠中槙之輔、岩田智輝が出場停止で、故障者もいる中、「チーム全体」で手にした勝利に価値があると強調。チームに取って、大きな大きな勝ち点3になった。