上写真=ミクシィが中心になって「強く、愛されるチーム」をめざしていく。左からミクシィの木村弘毅社長、FC東京の新社長に内定しているミクシィの川岸滋也スポーツ事業部長、FC東京の大金直樹社長(写真◎サッカーマガジン)
ホームタウン6市との関係を「23区にも広げていく」
株式会社ミクシィがFC東京のパートナーとして4年を経て、経営に乗り出すことが正式に決まった。12月10日に東京フットボールクラブ株式会社の臨時株主総会で承認され、発表の運びとなった。
ミクシィはFC東京とは2018年からスポンサー、少額株主(1000株、4.2%)となり、19年からはマーケティングパートナーとなった間柄。今回の第三者割当増資引受による引受株式数が23000株(11.5億円)で、合わせて24000株を保有、議決権所有割合が51.3%となった。
FC東京の大金直樹社長は「この4年で絆が生まれた。可能性を大きく広げるチャンス」と新しい経営に期待を寄せた。東京ガスをはじめ、三菱商事、三井物産、清水建設、きらぼし銀行、TOKYO MXとこれまでの中核企業をはじめスポンサー各社は変わらない支援を続けながら、経営権を持ったミクシィがトップに立つ構図だ。
2022年2月1日から新社長に就任する予定なのが、株式会社ミクシィのライブエクスペリエンス事業本部スポーツ事業部の川岸滋也事業本部長。新社長はさっそく指針を掲げた。
一つが、フットボールの面。トップチームではスペイン人のアルベル監督の就任も発表され、トップからアカデミーまで一貫したサッカーの浸透に取り組んでいく。特に、アカデミーやスクール事業の拡充によって、育成・普及機能を強化、若年層がサッカーに、スポーツに触れ合う環境をつくることを目指すという。加えて、小平グラウンドをよりよい環境にするための整備を積極的に進めていくという。
もう一つは、ミクシィの得意分野とも言えるビジネス面。すでにマーケティングパートナーとして実現させていることではあるが、エンタメ化、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めることで、スタジアム体験のさらなる向上を図っていく。ライブビューイング事業「Fansta」や関連会社の飲食店「HUB」と連携しながらスタジアム以外でFC東京に触れる場を創出したり、パートナー企業やスポンサーに喜んでFC東京を活用してもらうような取り組みを目指していくという。
経営の規模感については、川岸新社長は「具体的には申し上げられない」としながらも、「J1クラブの上位に伍していく、そして並んでいくことをマイルストーンとして置いていきたい」と明言。Jリーグが公開している2020シーズンの売上でいうと、横浜F・マリノスが約58.6億円、浦和レッズが約57.7億円、川崎フロンターレが約54.5億円、名古屋グランパスが約52.4億円がトップ4だから、コロナ禍の影響がまだ残りそうな来季も、売上50億円が一つの指標になるかもしれない。
ファンマーケティングの側面では、スタジアム移転などの噂も出ては消え、という状況が続く。川岸新社長はホームタウンである小金井市、三鷹市、府中市、調布市、小平市、西東京市の6市との関係を「とても重要」として、「その関係を変えずに何をアップデートできるか」について検討していくと強調。その基盤を「23区にも広げていく」として、ミクシィの拠点となっている渋谷区をはじめとした都心エリアでも、FC東京の認知を高めていきたい思いを口にした。
「強く、愛されるチームをめざして」がFC東京のスローガン。その具現化に向けて、ミクシィが先頭に立って推し進めていくビッグプロジェクトが、いよいよ始まった。