上写真=北島祐二は20歳のアカデミー出身のMF。横浜FM相手に怖がることなく勝負していった(写真◎J.LEAGUE)
「積極的にボールを受けて前を向いて運ぶことはできた」
北島祐二がピッチに登場したのは、57分だった。J1第22節の横浜F・マリノス戦。スコアは0-2でビハインド、左サイドMFに入って長谷部茂利監督から受けた指示は「積極的にいけ。シュートを狙って、練習で取り組んできてゴールにつながっていたので、それを出してこい」だった。
「2点を追いかけていたので、1点を取りにいこうと前向きな気持ちで入りました」
そんな思いを胸にした北島は、足元で細かくボールを動かすドリブルを生かして、左サイドで跳ねた。
「最初は左サイドハーフでプレーして、本職というか自分のポジションなので、積極的にボールを受けて前を向いて運ぶことはできたと思います。でも、もっとシュートを打てたらなと思います」
76分に城後寿とジョン・マリを最前線に送り込んでさらに攻撃の圧力を増すタイミングで、今度はボランチに移った。
「ボランチに入ってからはオープンな展開になっていて、なかなかボールを奪い切ることができませんでした。球際に強くいくこと、ガチャガチャっとなったところで取りきるところでは、ボランチとしての評価はまだまだかなと思っています」
8月に21歳になるアカデミー出身の若手MFだが、その受け答えは堂々と冷静だ。今季のリーグ戦では3試合目の出場ながら、ルヴァンカップでは6試合すべてに出場していて、貪欲に経験値を獲得し続けている。だがそれでも、横浜FMというビッグクラブのレベルの高さを痛感することになった。
「前半は相手の速さ、うまさに圧倒された印象でした。ゼロで耐えきれていたら、後半は持ち味の粘り強さからカウンターで得点を狙うチャンスができたはずで、序盤の戦い方を全体で共有しないといけない」
北島自身も、結果的にはシュートはゼロだった。
「シュートにいく場面を増やすのが課題です。途中から出ても、シュートを打たないと入らない。こいつを出せば点を取ってくれる、と思ってもらえるようなシュート、スルーパス、ゴールにつながるプレーが足りないと思っています」
これで4連敗と悩ましい時期が続くが、だからこそ雑念を振り払った突き抜けたプレーがチームに刺激を与えるはずだ。
「あまり試合に絡めていない僕や若手がもっとアピールして、エリートリーグや練習試合でどれだけアピールしてリーグに絡んでいくかが、浮上のきっかけの材料になると思います」
その先頭を走る北島が、何かを起こす。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE