上写真=長谷川健太監督が、盟友である堀池巧監督と対決する。順天堂大に対しても全力で勝ちにいく(写真提供◎FC東京)
「巧のほうが理想を追い求めてサッカーをするタイプ」
答えは、難しくはない。
「全力で挑んでいきたいと思います」
かたやプロ、かたや大学生。実力差はある。だが、ジャイアントキリングが起こるのがサッカーで、天皇杯だ。FC東京の相手は、関東大学リーグ1部の名門、順天堂大。アマチュアが相手だからといって遠慮するつもりはない。長谷川健太監督の「全力で」にはそんな意味が込められている。
もう一つ、理由があるとすれば敵将の存在だ。オールドファンには垂涎の「長谷川健太」vs「堀池巧」の対決が見られるのだ。1982年度の高校選手権で優勝、83年度に準優勝した静岡県の名門、清水東高で、大榎克己も加えた3人のスターが魅力的なサッカーを見せて全国にその名を轟かせた。Jリーグでも清水エスパルスで「再結成」するなど、日本サッカーの歴史を彩ってきた。
「長谷川健太」vs「大榎克己」はすでにガンバ大阪と清水エスパルスの監督として対戦が実現しているが、今回、プロと大学生という組み合わせでもあって、注目度も増している。
長谷川監督は「関東1部のチームですから、J2ぐらいのレベルがあると思う」と警戒心を高める。
「まったく油断というか侮っていることはなく、監督も堀池がやっているので闘志を燃やして戦ってくると思いますので、こちらとしても集中して戦わなければいけない」
小学生の頃からともに戦ってきた仲間だからこそ、全力でぶつかってくる姿を思い描くことができる。その堀池監督のサッカー観を「リアリストではないですね。巧のほうが理想を追い求めてサッカーをするタイプで、もちろん勝負にこだわっていると思いますが、ポゼッションを大事に、フットボールを大事にする監督だと思っています」と表現する。
順天堂大の試合もすでに分析済みだ。
「順大の良さは攻撃で特徴ある選手が多いところだと思っています。チームとしても前回の試合で6点取る力があるわけです(1回戦◯6-1tonan前橋)。4-3-3というか4-1-4-1というかで戦ってきて上り調子だと思っています。自信をもって戦ってくるのではないか」
その上で、大学生ならではの勢いにも注意を払っている。
「調子に乗ると手がつけられなくなると思います。90分間、インテンシティの高いサッカーができるかがポイントになります」
自身の筑波大時代のことを思い出しても、学生のパワーはみくびることはできないという。
「大学生にとっては、Jリーグのチームとやるのは大きなモチベーションになると思います。自分たちの力でどこまでやれるか試したいと思っているでしょうし、頑張ればJへの扉を開くことができるというモチベーションで戦うのは間違いありません。普段の力にプラスアルファを必ず出してくると思っているので、そういう相手と対戦する覚悟を持って臨まなければいけない」
順天堂大にはFC東京U-18出身の選手もいて、その意味でも興味深いゲーム。いろいろな種類の意地がぶつかり合う、楽しみな90分になりそうだ。