上写真=G大阪戦に向けてトレーニングする長谷川健太監督(写真提供◎FC東京)
「遠回りでしたが、大切な時間でした」
柏戦の勝利で連敗は脱した。4-0。それまでの苦しみがウソのようにチームは躍動し、アグレッシブに戦って敵地で勝ち点3をつかんだ。試合後、長谷川監督は「もがいた1カ月間は決して無駄にならない」と話したが、5連敗中のゲームと柏戦とで劇的に戦い方を変えたというわけではなかった。大きかったのは姿勢の部分だろう。ガンバ大阪とのホームゲームを控え、指揮官は改めてその点に言及した。
「守備の約束事は本来、あまり変わらないのですが、システムを変えることによって少しずつ薄れた部分があった。それをこの時期(=連敗中)に、もう一度確認しました。まだ1試合勝っただけなので何とも言えないのですが、分かっていてやれないのと、忘れていてやれないのではまったく違う。選手全員でもう一度、再確認する時間をつくることができたというのは、新加入選手が入ってきた中で、非常に遠回りでしたが大切な時間になったと思います」
ケガ人が相次ぎ、4-3-3から4-2-3-1とシステムを変更した中で、守備面の調整がうまくできず、チーム内に微妙なズレが生じた。「もがいた1カ月」を経て、改めて約束事を確認し、FC東京の強みを思い出して臨んだのが柏戦だった。そして迎えるG大阪戦は、柏戦で取り戻した感覚を、揺るがないものにする試合になる。
「(G大阪は)個の能力が非常に優れていますし、チャンスもつくれている。運がなく決め切れなかったりとか、そこで、より前がかりになってしまった面もあったと思います。ただ今、われわれは続けることが重要で、相手がどうのこうのというよりも、われわれのサッカーをしっかり出せるかどうか。前節、少し具現化できたと思いますが、重要になるのは、やっぱり続けていくことだと思っています」
長谷川監督にとっては古巣になるG大阪との対戦だが、その視線は相手よりも自分たちに向けられている。持ち味をいかに忘れることなく発揮するか。「(13節で)鹿島に負けて、まずは球際などベーシックな部分でしっかり戦わないと話にならないと突きつけられた。Jリーグで1勝することは本当に大変だと感じました」。これは柏戦の試合後の言葉だ。現在のFC東京というチームにとって何が重要か。指揮官が言うベーシックな部分、すなわち球際の勝負やアグレッシブさという点で相手を上回らなければ、「話にならない」。
逆に言えば、それが実現できれば、相手がどこであっても勝ち筋が見えてくる。G大阪戦で目指すのは、本来の姿を出し切って連勝を導くこと。FC東京は球際で激しく戦い、前向きなプレーで勝ち点3をつかみにいく。