上写真=センターフォワードは譲らない。オナイウ阿道がエースに名乗りを挙げる(写真◎Y.F.M.)
「言葉にすることが大事」
いいイメージを残しながら2020年を終えたことが、新しい年の気持ちの良いスタートに結びついたようだ。横浜F・マリノスのFWオナイウ阿道は昨季ラストゲームとなったJ1最終節の横浜FC戦でゴールを決め、3失点したために試合には敗れたものの、確かな手応えを得て過酷だったシーズンを終えた。
「去年の最終戦でいい感覚でできたので、休みが終わったあとでもしっかりやれればと意識しています」
自らのシュートがポストに当たってこぼれたところに素早く反応して押し込んだ22分のゴール、だけのことではない。
「得点の部分もあるんですけど、攻撃のビルドアップのところでのボールへの関わり方は、自分がいままでセンターフォワードとして出た試合の中では感覚的に良かったと思います。攻撃の起点になったり守備のスイッチを入れることだったり、ですね」
ゴールが大事。でも、ゴールだけではない。その感触がそのまま、横浜FMでの2シーズン目における基本スタンスになる。
まずは何よりも大事なゴールのこと。
昨季の得点源だったエリキもジュニオール・サントスもチームを去った。ブラジル人のレオセアラの加入は決まっているが、政府の新規入国制限措置により来日できていない状態も含めて考えると、オナイウへの期待はふくらむ。
「言葉にすることが大事だと最近思っています。自分が点を取ることを常々思って口にしてきたからかどうかは分からないけど、結果につながってくることがあって、今シーズンはさらに意識しています。チャンスは試合で何十回もあるわけではないので、集中してどんなパターンでも決めきれるようにしていきたい。あそこにボールを入れれば決まる、と思われる存在になれればと思っています」
「泥臭くてもいいので、シュートが相手に当たって入っても、きれいに入ってもゴールですから、そういうところにフォーカスしながら勝たせればいいと思います」
でも、ゴール以外の部分にも重きを置く。
「ゴール前のクオリティーももちろん大事で、自分が決めることも必要ですけど、味方がゴールできるチャンスを作るのもセンターフォワードに求められています。攻撃の起点になれることを考えています」
その両方に通底しているのは、責任の二文字だ。「もう若くない」と自分に言い聞かせるように繰り返すストライカーは、横浜FMというチームにあって、確かな存在感を示すシンボルであることを自らに課す。
「チームに求められるものは去年と変わらないとは思いますけど、同じポジションの選手が抜けて、より自分がやらなければいけない責任があります。去年は責任あるプレーができたかというとイエスとは言えなくて、結果を残すという部分でチームメートやスタッフの信頼を勝ち取らなければいけない。みんなに頼らないで引っ張っていける選手になれるように、今シーズンはしっかりやっていかなければいけないと思います」
「プレーでみんなを引っ張っていけるような力強さとか、負けている試合で、あいつ頑張ってるなと本当に、本当に思わせるような、ボールを奪い返すとか、得点を取るのに必死になって結果を出すことが大事です。存在価値をもっとチームの中で高くして、あいつがいれば良くなるとチームのみんなに思ってもらえるようにしていきたい」
言葉にすることが大事、という信念を地でいくような熱い言葉の数々。2021年のオナイウは、一味違う。