8月26日、明治安田生命J1リーグ第26節が開催された。味の素スタジアムではFC東京と鹿島アントラーズが対戦。先制したのはFC東京だったが、アウェーの鹿島が後半に『練習通り』の2点を挙げて逆転に成功。リーグ戦では4試合ぶりとなる勝利を飾った。

上写真=同点ゴールを挙げた鹿島のエヴェラウド(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月26日 J1リーグ第26節(観衆4,390人/@味の素)
FC東京1ー2 鹿島
得点:(F)OG
   (鹿)エヴェラウド、ファン・アラーノ

・FC東京メンバー◎GK林彰洋、DF中村拓海、渡辺剛、ジョアン・オマリ、小川諒也、MF髙萩洋次郎(76分:紺野和也)、三田啓貴(60分:安部柊斗)、アルトゥール・シルバ、FW内田宅哉(60分:ディエゴ・オリヴェイラ)、アダイウトン(60分:永井謙佑)、原大智

・鹿島メンバー◎GK沖悠哉、DF小泉慶、犬飼智也、関川郁万、永戸勝也、MFファン・アラーノ(83分:奈良竜樹)、永木亮太(64分:レオ・シルバ)、三竿健斗、荒木遼太郎(90分:遠藤康)、FW土居聖真(64分:和泉竜司)、エヴェラウド

サイドハーフが斜めに走って逆転弾

 2-2で引き分けた前回対戦からちょうど1カ月。今季2度目の顔合わせは、互いのスタイルをより先鋭化させたような攻防が繰り広げられた。ボールを保持して攻め込む鹿島に対して、東京は前向きの守備からボール奪うや敵陣に一気に攻め込んでいく。

 最初にネットを揺らしたのはFC東京だ。前半のアディショナルタイム。相手CB関川の縦パスに反応してカットすると、中村拓→三田とつないで右サイドを攻略。再び中村拓がボールを引き取ってエリア内に持ち込み、距離を詰めてきた三竿の股の間を通してゴール前にパス。原を狙ったボールだったが、相手CB関川が伸ばした左足に当たってそのままゴールに吸い込まれた。

 立ち上がりの鹿島の猛攻をしのいで、得意の形からゴールをスコア。戦前、鹿島のザーゴ監督は「自分たちのミスから失点してはならない」と勝利のポイントを挙げていたが、FC東京はまさに鹿島のミスを逃さず、ゴールをつかみとった。

 いい流れで前半を終え、後半を迎えたFC東京だったが、次の1点は鹿島が奪う。しかも個の力と個の力を掛け合わせてつかみ取ったようなゴールだった。48分、右サイドでボールを持ったファン・アラーノが最終ラインと駆け引きするエヴェラウドに浮き球パスを送ると、鹿島のエースFWは頭ひとつ抜け出してヘディングに成功。一度は相手GK林に止められたものの、跳ね返りを冷静に押し込み、同点に追いついた。

 相手の守備の人数がそろっている中、優れた技術で奪ったこの1点で鹿島は試合の流れを手繰り寄せる。球際バトルで優位に立ち、ペースをつかむと、57分にチームにとって大きな1点をもぎ取った。

 前半から相手のアンカー、髙萩の脇のスペースに入り込み、ボールを引き出す動きを繰り返していた荒木が、三竿の縦パスを受けてバイタルエリアに進入。右サイドからダイアゴナルの動きで走り出していたファン・アラーノに鋭いパスを送ると、ファン・アラーノは動きを止めずに巧みなトラップから左足を振り抜き、逆転ゴールをスコアした。

 追いかける展開になったFC東京は60分に3枚替えで前線と中盤をテコ入れし、1点を取りに行く。76分には髙萩に代えて紺野も投入し、アタッカーを増やした。すると、鹿島も83分にファン・アラーノに代えてCBの奈良をピッチに送り、フォーメーションを3バック+2ウイングバックの5バックに変更。アディショナルタイムも含めた10分強の時間を守り切る判断を下す。最後の瞬間まで激しい攻防が展開されたが、狙いを完遂したのは鹿島の方。試合はそのまま終了し、アウェーチームが2-1で勝利を飾った。

「選手のチョイスについて、できるだけフレッシュな選手を使うという部分で機能してくれたと思います。手ごわい相手に対してメリハリを付けた判断とプレーをするということを要求しましたが、選手がそれを実行してくれた。前半でもう少し点を取れれば、余裕を持ったプレーができたと思いますが、要求したものがしっかり表現され、スコアに表れた試合になったと思っています」

 ザーゴ監督はそう言って中2日の厳しい試合に勝ち切った選手たちを称えた。これまで何度もゴールを奪えずに苦しんできたが、とりわけ2点目は練習で研鑽を積んできた形だ。つまりは、努力が実った証。鹿島にとってこの勝利は、さらに自信を深める1勝になりそうだ。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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