上写真=7月17日の練習で選手たちの動きに目を光らせる城福監督(写真◎石倉利英)
「リアクションではなく、アクションで」
梅雨の合間の強い日差しの中で行なわれた7月17日の練習を終え、サンフレッチェ広島の城福浩監督は「結果だけでなく、いま抱えている問題をクリアしながら、今年の目標に向かっていく」と決意を新たにした。4日のJ1リーグ再開初戦、ヴィッセル神戸との第2節は3-0で快勝し、2月の開幕戦と合わせて連勝スタートを切ったが、大分トリニータと対戦した8日の第3節は、1-0とリードして迎えた85分からの2失点で逆転負け。12日の第4節はサガン鳥栖と0-0で引き分け、最初の3連戦で勝ち点が伸び悩んでいる現状を踏まえたコメントだった。
メンバーを入れ替えつつメニューを消化しながら、今季の特別ルールを踏まえた確認も意識したという。交代が5人まで可能になったことで、試合の流れを変えやすい面がある一方、セットプレーの攻撃で狙いどころに選手が入らずチャンスを逃したり、守備ではマークが混乱して失点のリスクが高まることも考えられる。「メンバーが代わったとき、『代わったので、あの場所に詰めませんでした』では後悔する。誰が出ていてもチームの狙いを共有したい」と城福監督は語り、試合が終盤に入ったときも想定しながら確認作業が続けられた。
水曜日に試合がなかった今週を経て、18日にホームでセレッソ大阪、22日にアウェーでガンバ大阪、26日にホームで名古屋グランパスとの対戦が待ち受けており、再び3連戦が始まる。暑さが増してくる時期でもあり、コンディショニングは勝敗を分ける重要なポイントになり得る。
「我々が4カ月ぶりに試合をするのは、おそらくサッカー人生で初めて。しかも自粛期間もあり、湿度も60~70パーセントという状況で試合をやっている」と現状の難しさを語った城福監督は、「環境や日程がどうであれ、我々が目指している、主導権を握ることへの強い意識をもう一度、全員で持ちたい。同じ疲弊するのなら、リアクションではなく、アクションで疲弊したいという思いが強い」とコメント。コンディショニングだけでなく、ボールを支配し、主導権を握ることによってもたらされるアドバンテージも強調した。
「とにかく、主導権を握る時間を多くしたい。それが具現化できなければ、今年の目標には手が届かない」と強い口調で語った城福監督。汗をかかないボールを、どれだけ動かせるか。まずはセレッソ大阪との一戦で、それが試されることになる。
取材・写真◎石倉利英