ルヴァンカップは第1節、J1、J2も第1節を終えて中断となった。この連載では開幕戦を材料に『シーズン最初の一歩』で目を引いた各クラブの注目選手を紹介していく。連載第6回はガンバ大阪のDF三浦弦太を取り上げる。

上写真=J1王者・横浜FMの攻略に大きく貢献したG大阪の三浦弦太(写真◎J.LEAGUE)

文◎北條 聡

手順に忠実なCB

 かつてイングランドの古豪アストン・ヴィラで指揮を執ったジョン・グレゴリーが、こんな名言を残している。

「いいストライカーがいれば試合に勝てる。だが、いいセンターバックがいればタイトルが取れる」

 なるほど古今東西を見渡せば、リアル9(点取り屋)が不在でも、フォルス9(偽9番)を活用してタイトルを手にしたチームも少なくない。だが、凡百のセンターバックを抱えたまま優勝までたどり着くのは至難の業だろう。

 果たして、ホントに強いのかどうか。

 それを確かめるにはセンターバックの顔ぶれをじっくりながめてみればいい。いるわ、いるわ、西の強豪ガンバ大阪につわものたちが。三浦弦太とキム・ヨングォン、さらにフランス帰りの昌子源まで加わったのだから何とも豪華である。

 光るのは若きキャプテンの三浦だ。

 日本のセンターバックには数少ない強みを、いくつも持っている。まず運動能力が高い。特段の高さはないが、それを補うだけの跳躍力がある。しかも速い。だから最終ラインを押し上げて野戦に挑み、敵の逆襲を食らっても脚力不足がネックになりにくい。大きな利点だ。

 いやいや、これらは基本スペックに過ぎない。守備者として優秀なのは鋭く前に出て敵を仕留める予防の力だ。俗に言うチャレンジ・アンド・カバーの「チャレンジ」を恐れず試みる。

 J1王者の横浜F・マリノスを破った開幕戦でもそうだった。1トップのオナイウ阿道に加え、トップ下のマルコス・ジュニオールをも潰しにかかった。

 総じて国内組のセンターバックはこのチャレンジが苦手だ。肝心のボールの持ち手を放置して、ずるずると後退――そんな場面をよく見かける。そもそも守備の原則は第一にボール、第二に人、第三に場所だろう。

 そこで自分のマーク(人)や担当区域(場所)を優先し、事態を悪化させる。どこかの国のウイルス対策みたいに……。

 三浦は違う。まずボール。その原則を肝に銘じているかのようだ。火消しの手順に忠実だから、味方のカバーも生きてくる。


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