上写真=サポーターと記念撮影する神戸の選手たち(写真◎J.LEAGUE)
■2020年2月8日 FUJI XEROX SUPER CUP
横浜FM 3-3(2PK3) 神戸
得点者:(横)M・ジュニオール、扇原貴宏、エリキ (神)ドウグラス、古橋亨梧、山口蛍
横浜FMメンバー:GK朴一圭、DF松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔(46分、伊藤槙人)、ティーラトン、MF扇原貴宏、喜田拓也(74分、和田拓也)、マルコス・ジュニオール(88分、水沼宏太)、FW仲川輝人、オナイウ阿道(46分、遠藤渓太)、エリキ(74分、エジガル・ジュニオ)
神戸メンバー:GK飯倉大樹、DF西大伍、ダンクレー、大﨑玲央、トーマス・フェルマーレン、酒井高徳、MF山口蛍、セルジ・サンペール(85分、小川慶治朗)、アンドレス・イニエスタ、FW古橋亨梧(85分、安井拓也)、ドウグラス(49分、田中順也)
常に先手を取り続けた神戸
先手を取ったのは、神戸だった。27分、イニエスタがドリブルで仕掛け、止めに来た相手DFの二人の間を割るようにパスを通すと、ボックス内で待っていた新戦力のドウグラスが、冷静に流し込んで先制。イニエスタの技術とドウグラスのシュート精度の高さが生んだ、ビューティフルゴールだった。
しかし、J王者・横浜FMも黙っていない。神戸のGK飯倉のキックが味方に届かず、ボールが神戸陣に流れると、仲川が鋭く反応。飯倉と接触するも、詰めていたM・ジュニオールが押し込んで同点に追いついた(36分)。
その後は、互いに点を取り合う展開が加速する。2点目を先に挙げたのも神戸だ。ボックスの外でGK朴一圭とT・マルチンスがパス交換するところに古橋がプレスをかけてパスミスを誘った。T・マルチンスから朴へのパスをカットするや無人のゴールに流し込んで2-1と勝ち越した。
横浜FMの2点目を挙げたのは扇原だ。後半の54分。遠藤のスローインを受けたエリキがクロスを送ると、ゴール正面で待っていた扇原が左足を合わせ、GK飯倉の頭上を抜いた。
2-2となった試合は、オープンな展開になっていった。3点目を先に挙げたのも、神戸だった。69分、イニエスタのクロスはDFにクリアされるが、こぼれ球を山口が豪快に蹴り込み、神戸が三たび、リードを奪った。
だが、それでも勝負はつかない。その4分後に横浜FMが3度目の同点劇を、大きな展開から演出する。右サイドの仲川から左サイドの遠藤へパスを送り、遠藤が中央へ折り返す。反応していたエリキが押し込み、3-3とした。
結局、90分で試合は決着せず、勝負はPK戦へ。そしてここでも、まるでゲーム中のような展開になった。
先攻は横浜FM。1人目のT・マルチンス、成功。神戸の1人目・イニエスタ、成功。横浜FMの2人目・扇原、成功。神戸の2人目・田中、成功。
横浜FMの3人目、E・ジュニオはGK飯倉に止められて失敗。神戸の3人目、小川は左ポストを叩いて失敗。横浜FMの4人目、水沼は左上に外して失敗し、神戸の4人目、西はGK朴に止められて失敗した。
そして横浜FMの5人目、松原はクロスバーに当ててしまい、神戸の5人目・大崎のキックはゴールの枠を外れて失敗する。6人目、横浜FMの和田はGK飯倉に防がれ、神戸のフェルマーレンのキックは枠の上へと外れた。
続く7人目、横浜FMの遠藤はクロスバーに嫌われたが、神戸の山口はゴール右にきっちり決めてみせる。このゲームで常に先手を取ってきた神戸が、PK戦でこの日、4度目のリードを手にし、勝利をつかみ取った。
「プレシーズンのような試合で、合流してまだ9日しか経っていない選手がいる中で、元日の天皇杯も含めれば、二つ目のタイトルを取れた。良い年のスタートになったと思う。タイトル獲得は本当に素晴らしいこと。お互いに一歩を引かないという試合の中で、選手たちが勝利へのこだわりと強い意志を見せてくれた」
9人連続で失敗するという前代未聞のPK戦となったが、すべてのタイトルを獲得すると誓う神戸にとっては、フィンク監督が言う通り「幸先の良いスタート」になった。
むろん、指揮官はタイトルを獲得したものの、内容に満足を示してはいない。「ビルドアップのミスも、オーガナイスの面でミスがあった」点と、「相手のプレスに対してボールを簡単に蹴ってしまった」点、「プレスのかけ方」などについて、「まだまだやるべき仕事がある」と話す。
シーズンの幕開けを告げるゲームを制したのは、神戸。5冠宣言のうち、まずは1冠を手にした。さらなる向上を誓う、まだまだ道半ばで――。