2020年2月、ハワイのオアフ島でハワイフットサルカップ2020が開催された。今年で4回目を迎える今大会はハワイで開催されているアマチュアのワールドフットサルフェスティバルだ。
日本ではここ数年9月~11月にかけて国内予選が全国各地で繰り広げられ、12月に行われる決勝大会で優勝したチームがハワイでのチャンピオンシップへの出場権(招待)を獲得する仕組みとなっている。
年々参加チーム数も増加傾向であったが、今年はコロナ禍の影響もあり、通常通りには国内予選も実施できない状況にある。しかし、そんな中でも今大会に参加したチームのメンバー等も一緒になって新たな取り組みが行われているという。日本と海外を繋いだオンラインでのセミナーやオンラインによるスペシャルクリニックといった活動だ。
11月のオンラインクリニック参加はこちらから
・ゲスト:ダニエル氏、相根澄氏、稲葉洸太郎氏
・参加費:無料
・実施方法:Zoom(申込後参加者にURLをお送りします)
9月から月に1回のペースで開催しているオンラインセミナーでは、毎年ハワイの本大会に参加しているベイエリア(アメリカ/カリフォルニア)のコーチ、ダニエル氏(スペイン人でフットサルアメリカ代表にも携わる指導者)が講師を務め、世界のフットサル事情や、サッカーにおけるフットサルの技術・戦術の活かし方などを紹介するなど、有意義な情報が得られる場となっている。
セミナーは英語(日本語解説付き)で行われており、海外のフットボーラーと繋がれるのもハワイフットサルカップならではの大きな魅力だ。
オンラインクリニック(有料)では、大会オフィシャルアドバイザーの相根澄や大会オフィシャルアンバサダーの稲葉洸太郎をスペシャルコーチとして、チームの課題や目標に応じてオリジナルに組まれた内容で実施するスペシャルクリニックが開催されている。こちらもなかなか無い機会なので、是非チェックしてもらいたい。
まだ第4回大会と歴史の浅いハワイフットサルカップだが、今年の世界大会チャンピオンシップ男子カテゴリーで優勝したのは、ジャパンステージを戦った中から選ばれた優秀選手による選抜チームのサムライFCだった。
相根監督の下で一戦ごとに成長したチームは予選リーグ3勝1分けの3位で勝ち上がると、準決勝は押されながらも相手の退場もあり勝利。決勝は地元ハワイ大学のシャークスメンに対し、ゴレイロが負傷退場するアクシデントもあったが、6-3の勝利で頂点に立った。
泉山将馬「相手が死ぬ気でくるので試合は白熱するけど、終わるとすぐ切り替えて握手をしたり、健闘を称え合ったりフレンドリー。そういう面は自分のプレー、日本の大学でのサッカー指導に生かしたい」
澤田一希「社会人チームで試合経験が足りず、今回のチャンスに“行くしかない!”と決意しました。アメリカ、ハワイ、オーストラリアの人と出会えて、いろんな戦い方を見られたのが大きな経験」
日本で凌ぎを削り、海外の選手たちと本気でぶつかり合った選手たちは貴重な経験、チームとして取り組む充実感を味わったようだ。
オーストラリアから初参加で4位と健闘したトリデンテのビニシウスコーチや選手たちもハワイならではの大会に満足したようだ。
「素晴らしい大会なのでオーストラリアにも広めるよ。コートはいいし、冷房も利いていて、素晴らしい動画、写真を撮ってくれて、運営も素晴らしい! 次回は女子チームも連れてこようと思う。毎日、試合後はクールダウンも兼ねてビーチに行ったよ。食事は美味しいし、山を登り、海中でカメを見たり、パイナップルのプランテーションも見学してきた。本当に最高の時間さ!」
チャンピオンシップ女子の大会を制したのはジャパンステージで優勝し、日本から唯一の出場となったアルコールイリス。日本女子フットサルリーグの名門アルコイリス神戸で活躍した選手が中心に集ったチームだ。
全員が30代となり、久しぶりにプレーしたメンバーもいたというが、コンビネーションがよく、高いテクニック、戦術理解度の高さなど、日本人の特性を存分に生かして、栄冠を勝ち取った。
決勝の勝負どころでオーバーヘッド気味のスーパーゴールを決めてチームを優勝に導いた江口直美選手が大会の魅力を語った。
「私はカナダ在住で、ハワイの本大会から合流しました。2点目のゴールは自分でもびっくりです。カナダで外国人とのプレーには慣れていますが、今大会はブラジル人、スペイン人などと対戦でき、すごく貴重な経験で楽しかったです」
決勝でアルコールイリスに敗れたディブッファラのブラジル人選手、ナラ・フォンセカは負けた悔しさをにじませながらも、ブラジル、アメリカのプレースタイルの違いを語ってくれた。
「私たちはアメリカのカリフォルニアでプレーしています。日本との決勝はどちらもフェアで実力も拮抗しており、いい試合でした。日本人は私たちより連係面で優れ、オフ・ザ・ボールの動きもよかったです。私はブラジルで生まれたときから足元にボールがありました。ストリートでも、ビーチでも、裸足で自由にボールを蹴ってきました。アメリカの選手たちは少しロボットみたいです。戦術を学び、フィジカルがとても強調され、私もすごく鍛えられましたよ」
スペインではアトレティコ・マドリードなどで14年間プロとしてプレーし、期間限定でサンフランシスコに移ってディバッファラの一員として出場したマルタ・ペジェグリンは大会を満喫したようだ。
「ハワイもこの大会も初めてだけど、すごく気に入りました。ビーチ、フットサル、美味しい野菜、すべてが最高です。また来年も会えるといいですね」
11月7日、女子チャンピオンシップ決勝と準決勝の一部を中心にテレビ放送が決定。日本サッカー界のレジェンド金田喜稔氏を解説に迎えて熱戦を振り返る。※男子チャンピオンシップは7月に放送済
番組名:ラン&ライド「ハワイフットサルカップ2020 Part2」
放送日:11/7(土)18:00~19:00
放送局:スカイA(CS)
予選を勝ち上がってチャンピオンシップ大会に出場できなくても、ハワイでは自費で参加できるオープン大会も行われ、日本からチーム、あるいは個人で多くの選手が参加した。
オープン大会のほかにオーバー35、オーバー45、ユースのカテゴリーでも試合が行われ、オーバー45には日本からジャパン・レジェンドが出場した。
サッカー元日本代表の金田喜稔氏が華麗なドリブルからゴレイロの逆を突くファインゴールを決め、初代フットサル日本代表監督を務め、現役時代はペレとの対戦経験もあるマリーニョ氏も、見事な足技で観客を沸かせた。2人の活躍もあり、ジャパン・レジェンドは見事に優勝を果たした。
オープン大会に出場した選手たちに、今大会と試合以外の時間にハワイをどのように満喫したのかを聞いた。
大学4年生のサークル仲間で出場したオハナの及川大翔さんは卒業旅行も兼ねて参加したという。
「相手は体が大きく、強くて当たると痛い! ステーキを食べてビーチに行ったり、観光して、夜はバーで毎日充実しています」
普段は友人とエンジョイレベルでプレーしているという佐藤希代子さんは、旅行のタイミングとうまく合ったために出場したという。
「元々ハワイへ旅行に来る予定で、ちょうどこの大会と日程が重なったので個人で参加しました。ハワイは5回目ですが、海と自然が最大の魅力だと思います。ガーリックシュリンプやお肉などの美味しい食事も楽しめます。試合は緊張しましたが、皆さん優しく声をかけてくれ、パスを回してくれたので楽しかったです。対戦相手もきつく当たりにくることはなく、フェアプレーでした。気軽に参加できるので、プレーするのが好きな方にはおススメしたいです」
ミソ・セレクトの一員として出場したハワイ在住のマジェールは、試合後に行われたエンジョイフットサルが楽しかったようだ。
「試合後にみんなでプレーした“個サル”は楽しかった。日本人のスタイルでプレーしたのは貴重な経験だった」
マハロハの応援で参加したかおりさんも、ハワイと個サルを大いに楽しんだようだ。
「今回は応援する側ですが、個サルは楽しかったです。皆さんからいいボールをたくさんいただいて決めることができました。たくさん外しましたけど(笑)。試合の合間には買い物、お肉の料理を楽しみました」
試合当日朝の便で到着したという三田雄一郎さん。
「稲葉洸太郎さんに誘っていただき、2日間だけ会社を休んで参加しました。日本とは違う環境で、洸太郎さんとチームメイトとして参加でき、外国人と対戦できたのも楽しかったです。“ここは獲れる!”というときの外国人の圧力は凄かったです。ビーチや山登りに行ったり、ロコモコを食べたり、試合以外の時間も充実していました」
男子選手にも負けない実力を発揮した清水みよさん。
「新婚旅行でハワイに来て、たまたまタイミングが合ったので夫婦でオープン大会に参加しました。外国人のフィジカルと当たりの強さ、熱量を感じられてすごく楽しかったです」
ハワイに留学中で現地の大学でフットサルをプレーしている武田かいとさん。
「元日本代表の(稲葉)洸太郎さんとプレーできたのは貴重な経験でした。動き方などを教えてもらい、今までのフットサル人生で一番ためになりました。こちらの食事でおすすめはアサイーボウルです!」
藤井大成さんは個人参加のチームで徐々にチームがまとまっていくことにやりがいを感じたようだ。
「ハワイの大学に留学しています。この大会ではいろんなレベルの人と一緒にチームワークを高めながら勝てて、最高の形で終えられました。食事でおすすめはオノシーフードのポケ(魚介類の切身に、塩、醤油、食用油、海藻、香味野菜などを混ぜ込んで調味したハワイ料理)です。美味しいですよ!」
最後に、オープン大会で個人参加のチーム、オーバー45ではジャパン・レジェンドでもプレーさせてもらった私自身の視点から見た大会も簡単に振り返る。
夫婦で新婚旅行、仲間と卒業旅行、個人旅行と多様な参加者に話を聞いたが、誰もが笑顔で充実のフットサル&ハワイ滞在を楽しんでいた。
コート場では体格、文化、考え方がまったく異なる外国人選手や、地元選手たちとプレーできる、物凄く貴重な機会だった。ファウルの基準が日本より少し緩い中での激しい当たり、強烈なシュート、“抜いた!”と思っても伸びてくる長い足。日本ではなかなか体験できない外国人との戦いは大いに刺激的だった。
日本で一番寒い2月の時期を抜け出し、常夏のハワイでフットサル、ビーチ、ショッピング、大自然、ショッピング、美味しい食事を楽しめる、かなり贅沢な旅。次回は、あなたも参加してみては、いかがでしょうか?
スペシャルクリニックや次回大会に関する最新情報は、以下公式サイトやSNSからチェックしよう!
現地取材◎池田晋