上写真=連覇を狙うI神戸(赤)がホームで逆転勝ちの好スタートを切った(写真◎森田将義)
■2026年8月22日 WEリーグ第1節(@ノエスタ:観衆4,183人)
I神戸 2-1 広島
得点:(神)太田美月、大熊環
(広)中嶋淑乃
セットプレーのセカンドチャンス
昨季女王のI神戸が今季目指すのはリーグ連覇に加え、WEリーグクラシエカップ、皇后杯、AFC女子チャンピオンズリーグの4冠。先制点を許し、決して満足のいく試合内容とは言えなかったが、宮本ともみ監督が「準備してきたセットプレーの形で得点を取って、逆転勝利を収めることができた。選手たちもスタッフも、はねのける強さみたいなところを示してくれて、とてもうれしい。4冠を目指している私たちにとって、勝ち点3以上の結果になりました」と口にしたように、価値ある開幕戦となった。
「自分たちの強みを広島相手にどうやって出していくか、いろいろなことを準備してきた」(宮本監督)I神戸の狙いは、広島のストロングポイントであるサイドの裏。前から強くボールを奪いに来る広島の守備戦術を利用し、自陣からのビルドアップで相手を引き出して、空いたスペースを突く形を目指した。
しかし8分に先制したのは広島。I神戸のビルドアップの乱れをMF小川愛が奪うと、パスを受けたMF中嶋淑乃が左サイドからエリア内に侵入。ゴールライン付近の切り返しでDFをかわすと、角度のない位置から放った右足シュートが鮮やかにゴールネットを揺らした。
開始早々に追いかける展開を強いられたI神戸だったが、「試合は90分あるので、一つのミスで試合を壊してしまうのも違う」とGK田中桃子が振り返ったように、ここから崩れなかった。鋭いサイドアタックから押し込まれる場面が続いたものの、DF三宅史織と太田美月のCBコンビを中心に要所を防ぎ、連続失点は許さない。
田中は「センターバックのカバーのやり方や、ボランチがスペースを埋める動きは、かなりやってきた。危ない瞬間もありながら何とか踏みとどまれたのは、試合前に戦い方を意思疎通できていたのが大きかった」と振り返った。42分には中嶋のドリブルでサイドを崩され、至近距離からフリーでシュートを打たれたが、「1対1は武器でもあるし、この1カ月、かなり重点的に積み重ねてきた」と自信をのぞかせる田中がブロックし、1失点にとどめて前半を終えた。
I神戸は後半、「前への意識、個で仕掛ける意識を強めた」(MF大熊環)ことで攻撃のギアを入れる。立ち上がりの48分に左サイドでパスを受けたFW辻澤亜唯がドリブルで中央に侵入、55分にはFW久保田真生が右サイドから仕掛けるなど、じわじわとゴールに迫った。
だがI神戸は流れの中から得点ができなくても、セットプレーという飛び道具を準備していた。宮本監督は「男子のワールドカップやJリーグを見ていても、セットプレーが直接ゴールに結びつく割合は多くない。セカンドボールや(フリックで)そらした後に目線が変わった後の反応と、仕組みをしっかり練ったものが準備できていると思う。選手の理解力、反応速度も準備してきた」という。
成果が表れたのは57分。右CKはクリアされたものの、左サイドでセカンドボールを回収し、MF成宮唯がゴール前にクロス。待ち構えたのは「唯さんにボールが入ったとき、ゴールに向かっていけばボールが来そうだという感覚があった」と振り返るDF太田。ゴールに背を向けて相手CB2人に挟まれた状態だったが「何とかゴール方向に飛ばせるように、気持ちで押し込んだ」と語るヘディングシュートが決まった。さらに72分には、右CKが相手DFに当たったところにMF大熊が反応。素早く振り抜いた右足シュートがゴールネットを揺らし、2-1と逆転する。
以降はケガから復帰したMF箕輪千慧や、2種登録のMF岸田優花、大田ありすも途中出場するなど、多くの選手が緊張感のある開幕の舞台を経験しつつ、1点差で逃げ切った。狙い通りの形で得点を奪って劣勢をはね返した開幕戦での逆転勝利が、今後につながるのは間違いないだろう。
取材・写真◎森田将義

