FIFAクラブワールドカップ2025のラウンド16が行われ、ベンフィカ(ポルトガル)とチェルシー(イングランド)が対戦した。チェルシーがリードして残り5分で悪天候のために試合が中断。再開後、ベンフィカがPKで追いつき、延長戦に突入する激しい消耗戦となったが、チェルシーが退場を出したベンフィカに対し、延長後半に3ゴールを集めて勝ちきった。

上写真=エンクンクが押し込み、延長後半にチェルシーが勝ち越した(写真◎Getty Images)

■2025年6月28日 ラウンド16(@バンク・オブ・アメリカ)
ベンフィカ 1−4(ex) チェルシー
得点:(ベ)アンヘル・ディマリア
   (チ)リース・ジェームズ、クリストファー・エンクンク、ペドロ・ネト、キアナン・デューズバリーホール

ディマリアのベンフィカ、ラストゲームに…

画像: 今大会を最後にベンフィカを退団するディマリア。後半ATにPKを決めた(写真◎Getty Images)

今大会を最後にベンフィカを退団するディマリア。後半ATにPKを決めた(写真◎Getty Images)

 攻めるチェルシー、守るベンフィカの構図で試合は進んだ。ペドロ・ネトが右サイドを突破して放った開始早々のシュートに始まり、ボールを握ったチェルシーは敵陣に何度も攻め入った。

 一方でベンフィカはマルク・ククレジャのシュートをDFのアントニオ・シウバがライン上でクリアするなど、ぎりぎりで失点を防ぐ展開。GKアナトリー・トルビンがククレジャやコール・パーマーのシュートを右手一本で止めるなど好守を連発しなければ、前半のうちに試合が決まっていたかもしれない。

 後半もチェルシーが優位に試合を進めると、意外な形でゴールが生まれた。64分、敵陣左サイドで得たFKの場面でリース・ジェームズが右足を振り抜く。ボールは直接ニアサイドへ向かい、ゴールイン。距離もあり、ゴール前の味方に合わせるとトルビンも予想していたのか、反応が遅れてしまった。

 ついに均衡を破ったチェルシーがリードを保ったまま試合は85分を経過。このまま押し切ると思われたが、雷雲接近のため、試合が約2時間、中断されることになった。

 そしてチェルシーは勝利目前で、文字通り水を差された格好になった。5分あまりのアップ後、再開された試合でドラマが待っていた。アディショナルタイムの90+5分、劇的な展開を導いたのはディマリアだった。

 右サイドからピッチを横切るようにドリブルし、モイセス・カイセドに倒されてFKを獲得。そのままキッカーを務めたディマリアがボックス左へボールを送ると、ニコラス・オタメンディが頭で折り返したボールがマロ・ギュストに当たってPKのチャンスを得た。これをディマリアが冷静に決めて、土壇場でベンフィカが追いついた。

 ドラマのような展開で延長戦に突入すると、延長前半も92分、ジャンルカ・プレスティアーニが危険なプレーで2度目の警告を受け、退場に。追いついた勢いを生かしたかったベンフィカだが、以降30分近く1人少ない状態で戦うことになった。

 4−4−1で構え、攻めはカウンターを狙うベンフィカに対し、チェルシーはボールをつなぎながら、攻め筋を探る展開。104分にボックス内からチェルシーの10番、コール・パーマーが放ったシュートをGKトルビンがセーブすると、そこからベンフィカが一気のカウンター。最後はディマリアがシュートを放ったが、GKロベルト・サンチェスにキャッチされた。

 過酷な消耗戦の中、両チームともにベクトルを前に向けて戦うと、108分、勝敗を分けるゴールが生まれる。敵陣でカイセドがレアンドロ・バレイロからボールを奪い、パーマーとのワンツーでボックス左に進入してシュート。こぼれたところをクリストファー・エンクンクが一度はオタメンディに止められながらも蹴り込んだ。

 攻めるしかないベンフィカが前掛かりになった裏を突き、114分にペドロ・ネト、117分にキアナン・デューズバリーホールがネットを揺らし、チェルシーが粘る相手を振り切って4−1で勝利を収めた。

 この結果、チェルシーは準々決勝でパルメイラスと対戦することが決定。ベンフィカはこの大会を最後に退団するディマリア中心に熱い戦い見せたが、ラウンド16で姿を消すことになった。


This article is a sponsored article by
''.