4月16日に行なわれた2024-25シーズンのSOMPO WEリーグ第15節で、三菱重工浦和レッズレディースと日テレ・東京ベレーザ(東京NB)が対戦した。暫定3位の浦和が同2位の東京NBをホームで迎え撃った平日のデーゲームは、勝った方が首位に立つ注目の上位対決。終盤にスコアが動いたものの、どちらも勝利はつかめず、勝ち点1を分け合う引き分けに終わった。

上写真=平日にもかかわらず2000人を超える観客が来場。どちらも譲らず引き分けに終わった(写真◎森田将義)

■2025年4月16日 WEリーグ第15節(@浦和駒場:観衆2,020人)
浦和 1-1 東京NB
 得点:(浦)島田芽依
    (東)樋渡百花

上位3チームが勝ち点1差に

 勝ち点差はわずか1。勝ったチームが首位に立つ上位対決とあって、平日14時キックオフながら2020人もの観客が訪れた。「浦和さんのサポーターも含め、応援するチームはそれぞれですが、多くの観客の前で選手がプレーをする。それは日本の女子サッカーのために非常に大事な要素だと思っています」。そう話したのは東京NBの松田岳夫監督で、観客が作り出す緊迫感の中で試合が進んでいく。

 前半に主導権を握ったのは浦和だった。堀孝史監督就任後の直近2試合はともに1-0での勝利で、「2試合とも、なかなかゴールを奪えなかったので、ゴールを奪うために(選手を)どう使うかというプラン」(堀監督)で挑んだという。その一つが、CBでのプレーが続いていた高橋はなの前線での起用。後方でボールを動かしながら機を見て高橋にロングボールを送り、セカンドボールの回収からサイド攻撃を仕掛けた。
 
 10分、CKを短くつないだ後の右からのセンタリングを高橋がヘッドで合わせたが、右ポストに当たって決まらず。18分には左サイドを攻め上がったDF栗島朱里がMF伊藤美紀とのワンツーでエリア内左サイドに侵入。ゴール前に入れた速いボールを反対サイドのDF遠藤優が左足で狙うも、GKにキャッチされた。22分には相手のビルドアップをMF塩越柚歩が高い位置でカット、そのままゴール前に持ち込んだものの、シュートを打ち切れない。

「前半はボールの取りどころがなく、意図的にボールを動かされてしまった」(松田監督)東京NBだったが、前節から中3日という疲労を踏まえ、ボールを持たれることは想定の範囲内。松田監督は「ここを失点ゼロに抑えられたことで、後半にアクセルを踏む勇気を持てた」と続けた。
 
 後半開始からMF松永未夢、FW山本柚月を投入すると、チームの意識は守備から攻撃へ。「選手が変わってスイッチが入った」と口にしたのはMF眞城美春で、自陣からのビルドアップに苦戦する場面も見られた前半から一転、後半は中盤のエリアに入る回数が増えた。そこでタメを作れたことで選手の関係性が生まれ、連係でゴール前に入っていけるようになったが、浦和の堅守を崩し切れない。

 そうするうちに70分、ゴールキックをはね返されて攻め込まれ、エリア内で対応したDF村松智子とGK野田になが、切り返した浦和FW島田芽依にかわされる大ピンチ。しかし無人のゴールへ懸命にカバーに入ったDF坂部幸菜が、島田のシュートを頭でブロックしてCKに逃れた。

 無失点で粘っていた東京NBに見せ場が訪れたのは84分。FW土方麻椰からのパスを受けたMF北村菜々美が左サイドからゴール前にクロスを入れると、ニアに走り込んだFW樋渡百花が右足で合わせて均衡を破った。

 終盤の得点で東京NBが勝利に近づいたかと思われたが、浦和の選手たちはあきらめなかった。後半アディショナルタイムの90+2分、エリア内右サイドへ駆け上がって高橋のパスを受けた遠藤が折り返したボールを、島田が決めて1-1。試合再開後、ほどなくタイムアップを迎える劇的な同点ゴールとなった。

 同じ勝ち点1でも両チームにとって意味合いは異なるが、どちらも前を向いた。首位に立ったものの、最後に勝ち点2を失った形となった東京NBだが、眞城は「正直、勝ちたかった気持ちはもちろんあるのですが、いまは負けなくてよかったというポジティブな気持ちでいます。今日の試合も大事でしたけど、この後の試合がさらに大事になってくると思うので、今日のような試合にならないように、また全員でやっていきたい」とコメント。浦和の堀監督も「中2日という苦しい日程の中、選手たちが最後まであきらめずに戦ってくれました。最後に追いつくことができたので、すごくポジティブだと思います」と振り返った。

 これでWEリーグは全チームが17試合を消化し、勝ち点39で首位の東京NB、同39で2位のINAC神戸レオネッサ、同38で3位の浦和が勝ち点差1でひしめく大混戦。残り5試合となった優勝争いも、最後まで目が離せない展開になりそうだ。

取材・写真◎森田将義


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