上写真=決勝トーナメント2回戦、PK戦で大活躍を見せた同志社大学四ツ葉キッカーズのGK窪田有真(写真◎サッカーマガジン)
波乱含みの展開
サッカーマガジンカップ(通称:マガ杯)は1982年に第1回が開催された歴史ある大会で、今年で42回大会を迎えた。近年は大学の準体育会、同好会、サークルの「日本一」を決める大会と位置付けられ、昨年の41回大会では、中央大学サッカー同好会が参加64チームの頂点に立っている。
大会3日目は、予選リーグの各組上位2チームが進出し、頂点を目指す「決勝トーナメント」と、下位2チームが戦う「下位トーナメント」に分かれる。各トーナメントは午前中に1回戦、午後から2回戦(1回戦で敗れたチームは、敗れたチーム同士の対戦)が行なわれた。なお、ここからフルタイム(30分ハーフ)で決着がつかなかった場合はPK戦で勝負を決める。
決勝トーナメントは波乱含みの展開となった。毎年優勝候補に名前が挙がる、大会優勝経験チームが軒並み敗れたからだ。1回戦で中央大学体同連フースバルクラブA(第31、34、37回優勝)、立教大学サッカー愛好会A(第36回優勝)、早稲田大学稲穂キッカーズA(第27、35、40回優勝)が敗れる波乱の幕開けとなり、続く2回戦でも早稲田大学理工サッカー部A(第13回優勝)が力尽きた。ちなみに今大会の前哨戦とも言える新関東リーグ春のカップ戦を制した早稲田大学FC Gusuta A、昨年大会準優勝の同志社大学三ツ葉キッカーズAも1回戦で夢敗れている。
そんな番狂せが多発した決勝トーナメントを勝ち上がりベスト8に残ったのは、慶應義塾大学理工学部体育会サッカー部A、中央大学MAPLE C、青山学院大学理工サッカー部A、同志社大学四ツ葉キッカーズ、東北学院大学Libero、中央大学体同連フースバルクラブB、中央大学サッカー同好会A、中央大学MAPLE Aの8チーム。この中で優勝経験があるのは青山学院大学理工サッカー部Aと昨年王者の中央大学サッカー同好会Aの2チームのみとなった。
覇権交代を目論む新たな風
優勝候補や強豪チームがベスト8から姿を消しているということは、言い換えればこの大会に新たな風が吹いているとも言える。
慶應義塾大学理工学部体育会サッカー部Aは1回戦で中央大学体同連フースバルクラブAをPK戦の末に下し、勢いそのまま2回戦では早稲田大学FC Gusuta Aを4-0で粉砕して勝ち上がった。
「僕たちは3年のいないAチーム。1・2年だけのチームです。もちろん3年生がいないことでの不安要素もあるけど、若いからこその勢いもあるし、まとまりもある。8月の学内戦では決勝で負けたことで、かえってタイトル欲も強くなりました。これまで優勝経験のないマガ杯で初タイトルを獲れたら最高ですね」
チームの代表・星拓希が言う通り、若いチームだからこそ乗せたら止まらない勢いはどのチームよりもある。明日の準々決勝の相手は中央大学MAPLE C(4年生チーム)。経験豊かな相手にどこまで勢いが通じるか見ものだ。
中央大学MAPLE Aは2008年に創部したチームで、マガ杯参加チームの中では新しい部類に入る。今大会、予選リーグは2位で通過しながら、決勝トーナメント1回戦では強豪・同志社大学三ツ葉キッカーズに1-0で競り勝つなど、粘り強く勝ち上がってきた。ここまで挙げた4勝のうち3勝が1点差勝利という事実も粘り強さの証だろう。代表の岡田佳也は言う。
「2年前に記録した最高順位の6位を越えようとこの大会に臨みました。今年は守備陣が充実しているので、安定した守備、そして後ろからの組み立てから勝利を狙います。優勝というより、目の前の1戦1戦に集中したいですね。中大は同好会やフースバルが強いと思われがちだけど、そんな周りの評判は気にしない。自分たちは『自分たちが一番強い』と思っていますから」
第42回を数える今年のマガ杯もいよいよ折り返しを過ぎた。マガ杯に新たな風が吹き込むのか、それとも上位進出の常連組がその風に立ちはだかる壁となるのか。明日9月9日、決勝トーナメントでは午前中に準々決勝、午後からは準決勝が行われ、いよいよ映えあるファイナリストが決定する。