上写真=ルーマニアは29分にスタンチュが美しいシュートを決めて、一気に試合の流れを引き寄せた(写真◎Getty Images)
■2024年6月17日 グループステージ1節・E組(@ミュンヘン)
ルーマニア 3-0 ウクライナ
得点:(ル)ニコラエ・スタンチュ、ラズバン・マリン、デニス・ドラグシュ
ウクライナは国旗をまとって入場
キックオフから優勢だったのはウクライナ。ほとんどルーマニア陣内で戦うハーフコートゲームの様相を呈した。チェルシー(イングランド)所属の左サイドハーフ、ミハイロ・ムドリクを中心に攻め立てていく。
ただ、決定的なチャンスは作れずじまい。圧倒的にボールは保持するもののルーマニアの守備を破るシーンはほとんどなく、有効なフィニッシュにまではなかなか至らなかった。
ルーマニアも苦しんだ。ウクライナのボール回しになんとか食らいついたものの、逆襲の糸口がつかめない。時折カウンターを仕掛けても、ゴールに近づくにつれて精度を欠いてチャンスには程遠かった。
そんな膠着した状態を破るきっかけは、ミスだった。29分、ウクライナが最終ラインのビルドアップでもたついてGKアンドリー・ルニンのクリアがルーマニアのMFデニス・マンへ。すかさず送った横パスを、MFニコラエ・スタンチュがペナルティーエリアのすぐ手前から右足のダイレクトシュートで鮮やかにゴール左上隅に突き刺し、ルーマニアが先制した。
これで一気に潮目が変わった。勢いに乗じてルーマニアがゴールへと迫れば、ウクライナも同点を目指してさらに攻めに出て、早くからオープンな展開になっていった。しかし、どちらのチームにも技術的なミスが散見されて、またもチャンスの生まれにくい流れに戻ってしまった。
後半に入るとカウンターの応酬になったが、53分、ルーマニアが一気に相手陣内へと突き進んで追加点が生まれた。右サイドからのマンのカットインは相手に止められたものの、こぼれ球をMFラズバン・マリンが右足で力強くたたいてゴール左へとねじ込んだ。
これで終わらなかった。57分、右CKを短くつないで巧みなドリブルでペナルティーエリアに進入したマンが中央へ、FWデニス・ドラグシュが左足でプッシュして、ルーマニアが3点目も奪ってみせた。守ってもウクライナの攻撃の稚拙さにも助けられて、クリーンシートを達成した。
この試合の前日は、エドワード・ヨルダネスク監督の46歳の誕生日。3発快勝の勝ち点3は、1日遅れの最高のバースデープレゼントになった。