上写真=大会4日目は決勝トーナメントの準々決勝・準決勝が行なわれ、ファイナリストが決定。真剣勝負も、試合が終わればお互いを称え合う(写真◎斉藤豊)
対照的な準決勝
サッカーマガジンカップ(通称:マガ杯)は1982年に第1回が開催された歴史ある大会で、今年で41回大会を迎えた。近年は大学の準体育会、同好会、サークルの「日本一」を決める大会と位置付けられ、昨年の40回大会では、早稲田大学の稲穂キッカーズが参加48チームの頂点に立っている。
大会4日目、決勝トーナメントは午前中に準々決勝4試合、午後から準決勝2試合が行なわれた。長丁場の大会で心身ともに疲れがピークを迎える中、午前中の準決勝を勝ち抜いて午後からの準決勝に駒を進めたのは、Be Legends(中央大学サッカー同好会のOB=4年生チーム)と同志社大学三ツ葉キッカーズA(三ツ葉A)、中央大学サッカー同好会(中大同好会)と立教大学サッカー愛好会A(立教愛好会A)の4チームだ。
翌日のファイナル進出を懸けた2つの準決勝は、対照的な展開となった。
Be Legendsと三ツ葉Aの試合は拮抗した展開に。どちらも相手陣内に攻め込むものの、激しい守備の前に決め手を欠く。それでも前半のうちに三ツ葉Aの川本陸友の鋭いクロス性のシュートがネットを揺らし、試合が動いたが、すぐにBe Legendsがペナルティーエリア内でファウルを受け、新谷唯我がPKを決めて追いついた。後半も同様の時間帯が続いたが、終盤になると三ツ葉Aの足が止まりかけ、Be Legendsが猛攻を仕掛ける。しかし最後までゴールは遠く、1−1のままPK戦に。ここでもお互い2本目以外は決め続け、8人目にして後攻のBe Legendsが外し、どちらに転んでもおかしくない試合を三ツ葉Aが制した。
中大同好会と立教愛好会Aの試合は、前半こそお互いに集中した守備を見せて0-0で折り返すも、後半は意外にも一方的な展開となった。中大同好会が、相手DFのクリアミスに反応した滝口颯太がGKのスキを突いたループ気味のシュートを押し込んで先制すると、直後に長友星澄がグラウンダーのミドルシュートを突き刺して2点差に。前掛かりになる立教愛好会Aをよそに、最後はゴールキックの流れからキャプテンの信岡光がゴールネットを揺らし、3-0に。中大同好会は守っても阿部真珠、野田翔汰の両CBが立教愛好会の厚みのあるサイド攻撃をきっちりとはね返し、相手も「完敗だった」と認める試合内容で決勝に駒を進めた。
悲願の初制覇・関西勢初優勝か、名門復活・18年ぶりの頂点か
ついに9月12日の決勝に出場するファイナリストが決定。準決勝の展開は対照的だったが、勝ち上がった両チームもまた、その特徴や勝ち上がり方は対照的と言っていい。
三ツ葉Aは同志社大学の名門サークルで、関西から唯一の参加チーム。悲願の初優勝を目指している。決勝までの道のりは、まさに薄氷を踏むような展開で、決勝トーナメントの1回戦、2回戦、準々決勝をすべて1-0で勝ち上がり、準決勝もPK戦の末の勝利。その上、長丁場の大会でコンディション不良の選手が続出しており、まさに満身創痍の状態で挑む。それでもキャプテンの難波晃一は、悲願の優勝をあきらめていない。
「選手のコンディションは最悪で、準決勝も交代選手の余裕がなかったですが、何とか持ちこたえました。ここまで悪い状態で勝ち上がった僕たちを、他のチームも応援してくれるんじゃないでしょうか(笑)。失うものは何もないので、この状況を嘆くのではなく、むしろ楽しみます。この状態の僕たちが、関東の強豪サークルを抑えてマガ杯を制するなんて、こんなに面白いことはないじゃないですか!」
もう一つのファイナリスト、中大同好会は歴史ある名門サークルで、マガ杯では最多6度の優勝を誇る。ただ近年は優勝から遠ざかっており、2005年以来18年ぶりの頂点を目指す。堅固な守備力をベースに、予選リーグを通じて決勝までの全7試合を無失点で勝ち上がってきた。控えも含めてどのポジションにも穴がなく、誰がピッチに立ってもレベルが落ちない強みを持つ。昨年の大会は、まさかの決勝トーナメント初戦敗退。今年春のカップ戦では決勝で苦杯をなめており、このマガ杯に懸ける思いは一際強い。キャプテンの信岡は言う。
「ここまで無失点で勝ち上がってきたとおり、全員の『まずは守備から』という意識は高い。特に2CBは責任感も強く、本当に頼もしい存在です。決勝の相手は、準決勝で僕らのOBチームを破っているので、先輩の仇打ちの場。それに強豪とはいえ、唯一の関西チームにマガ杯を持って帰らせるわけにはいかないので、僕らに負けたチームの思いも背負って、絶対に勝ちますよ!」
舞台は整った。満身創痍の三ツ葉Aが初めて関西に優勝カップを持ち帰るのか、盤石の中大同好会が18年ぶりに復活の凱歌を菅平に響かせるのか。41回目のマガ杯王者と、参加全チームの1位から64位までの順位が決まる。
大会4日目を終えた決勝トーナメント・下位トーナメントの山組は以下のとおり。