上写真=史上最多となる7度目の優勝を勝ち取ったセビージャ(写真◎Getty Images)
決勝は3季連続でPK戦に突入
決勝までの戦いぶりから攻撃力はセビージャに分があり、守備力ではローマが勝ると目されていた。ただ、決勝は一発勝負。互いに慎重に試合に入りというよりも主導権を握るべくアグレッシブなスタートを切る。ボールの争奪戦で激しくやり合い、ゴール前の攻防も前半から何度も見られた。
スコアが動いたのは、前半35分。ローマが先制点を手にする。イバン・ラキティッチとブライアン・クリスタンテが競り合ってボールをこぼれたところをジャンルカ・マンチーニが拾って相手最終ラインの間を取ったパウロ・ディバラに縦パスを供給。ディバラが左足を振り抜き、ネットを揺らした。セビージャにとって悔やまれたのは、競り合いの中でラキティッチがファウルと判断してプレーを止めてしまったこと。判定はノーファウルでローマが先行することになった。
後半、1点を追うセビージャはオリベル・トーレスに代えてスソ、ブライアン・ジルに代えてエリク・ラメラを投入し、その攻撃力を全開にした。中央が堅いローマの守備に対してボールをサイドに動かして相手の陣形を広げ、クロスからチャンスをうかがった。すると55分、狙い通りの展開から試合を振り出しに戻すことに成功する。
ラキティッチから右サイドのヘスス・ナバスに展開すると、早いタイミングでクロスを入れる。ニアにルーカス・オカンポス、中央にユセフ・エン=ネシリが飛び込んだが、タイミングをずらされた格好になったローマの対応が後手になる。エン=ネシリに付いていたマンチーニはゴール方向に戻りながら必死のクリアを行うもしっかりヒットせず。ボールは無情にも自陣のゴールへ吸い込まれ、オウンゴールでセビージャが同点に追いついた。
残り20分を切り、試合がヒートアップしていく中で75分、ボックス内で粘り強いドリブルを見せたオカンポスがロジェル・イバニェスに倒される。一度はPKの判定となるが、VARを経て取り消しになり、セビージャはチャンスをつかみ損ねた。一方でローマも81分にネマニャ・マティッチのクロスがボックス内のフェルナンドの左腕に当たったが、ハンドとは判定されず。
勝ち越しのチャンスを求めて攻め合うものの、次の1点は生まれず、試合は90分で決着つかずに15分ハーフの延長戦に突入することになった。
セビージャがボールを握る展開となるが、ローマも要所を締めて対抗。延長戦は激闘を戦ってきた両チームの選手たちに疲労が見え始め、何度も足をつってピッチに倒れ、治療を受けることになった。
まさに消耗戦となった激闘は、しかし120分でも勝負がつかず。EL決勝は3シーズン連続でPK戦に突入した。
先攻はセビージャ。オカンポス、ラメラ、ラキティッチ、ゴンサロ・モンティエルと全員が成功したのに対し、後攻のローマは、クリスタンテ、マンチーニ、イバニェスのうちマンチーニとイバニェスが失敗。セビージャのモンティエルは一度は失敗したかに思われたが蹴り直しとなったキックをしっかり蹴り込み、アルゼンチン代表として臨んだカタール・ワールドカップの決勝と同様に、優勝を決めるキッカーとなった。
この結果、セビージャが2019ー20シーズン以来3季ぶりの優勝を達成。7度目の戴冠は、誇るべき史上最多の数字である。