上写真=昨年11月に続き、パリ五輪を目指す代表に招集された西川潤(写真◎飯尾篤史)
文・写真◎飯尾篤史
鳥栖への期限付き移籍が転機
攻撃のアイデアや“違い”を生み出すプレーは申し分ない。その類まれなる能力をどのポジションで生かすべきか――。大岩剛監督も見極めている最中だ。サガン鳥栖の西川潤は3月21日のゲーム形式のトレーニングでは4-3-3のセンターフォワードで、22日にはインサイドハーフとして起用された。
「いろんなポジションをやりながら、っていう感じだと思います。どっちもやれるんですけど、落ち気味のほうがやりやすいですね。そこでボールを引き出したり、前と関わっていきながら、ボックス内で違いを見せていきたいですね」
桐光学園高3年次の19年5月には“飛び級”でU-20ワールドカップに出場。同年10月には自身の世代の一員としてU-17ワールドカップで活躍したが、加入したセレッソ大阪でプロの壁にぶつかり、代表からも遠ざかるようになる。
そんな西川にとって転機となったのが、昨季の鳥栖への期限付き移籍だった。
川井健太監督のもとで足りないものを身につけ、昨季後半に出場時間を伸ばし始めると、昨年11月のスペイン・ポルトガル遠征でU-21日本代表に初招集され、今回うれしい連続選出となった。
「プレー強度やプレーの連続性について意識しろ、とすごく言われました。コーチングスタッフの方々がいろんな映像を見せてくれながら、課題と向き合いつつ、良さをもっと出せるように、というアプローチをしてくれて本当にありがたいです」
実に3年ぶりに日本代表のユニフォームをまとった昨年11月の欧州遠征では、忘れかけていた大事な感情を思い出し、それがまた西川を駆り立ててきた。
「海外の選手とやるのは久しぶりだったので、またこうして戦えてうれしいなと思う反面、こういう選手たちに負けないように頑張らなきゃいけない。海外の相手と対戦すると、成長に繋がる部分が大きいなって改めて感じましたね。(パリ五輪まで)時間が少ないので、自分の良さをしっかり出しながらチームに貢献していきたい」
果たして今回のドイツ・スペイン遠征でどんな爪痕を残せるか――。遅れてきた“世代屈指のアタッカー”の逆襲が始まる。