上写真=仲間とゴールを喜ぶ藤尾翔太(9)。一体感は抜群だ(写真◎AFC)
「スピードのあるパスを出しました」
FWの藤尾翔太は今大会、右のワイドで起用されている。そのスピードと前への推進力を生かし、「ウイングストライカー」としてのタスクを担っている。「サイドの役割を全うしながらゴールを狙っていくことを考えています。いつものポジションとは違いますが、チャレンジして結果につなげたい」と意欲的だ。
韓国との準々決勝でも、その特徴が目立った。1-0でリードしていた38分、左から細谷真大が自らのシュートのこぼれ球を拾ってセンタリング、右から入ってきた藤尾が左足で狙った。しかし、DFの足に当たってしまった。
「打ちたいコースにイメージ通り打ったんですけど、相手の寄せが早くて足に当たってしまいました。もう一つ持ち出して打つとか、ニアではなくファーへ流すとか考えて幅広いプレーをしたいと思います」
45+1分に、今度はビッグチャンスを作ってみせた。ペナルティーエリア内にこぼれたボールに反応し、相手の前に体をねじ込んで自分のものにする力強さを発揮して、角度がないながらもGKと1対1に。
「相手のミスパスでしたけど、あそこで体を早く入れてキーパーと1対1になって、キーパーのことも見えていたんですけど、間接視野で真央が横にいるのが見えて、僕が決めるより確実性を選んでパスしました」
細谷のシュートはしかし、しっかり左足に当たらずにライン上でクリアされてしまう。
この2つのチャンスは「前奏」だったかもしれない。65分に1本のパスがゴールにつながった。スローインから右サイドで収めると、マイナス方向に中へ鋭いパスを送った。そこに、鈴木唯人。
「僕がスピードのあるパスを出しましたけど、あのパスとそこからのドリブルからシュートはイメージしたとおりでした」
地を這うようなスピードボールには、勝負を仕掛けろというメッセージがこもっていた。それをしっかり受け取った鈴木唯が突破から強烈なシュート、GKが弾いたボールを細谷が押し込んで2-0とした。藤尾が74分に退いたあと、80分には鈴木唯がさらに決めて3-0で完勝。ベスト4へと駒を進めた。
残りは準決勝、そして決勝か3位決定戦と、2試合戦うことができる。
「1試合1試合、チャンスが僕のところに来ているので、サイドですけど手応えを感じています」
サウジアラビア戦では退場処分を受けて悔しい思いもしたが、残り2試合ではその分も、結果を残したい。
「ゴールがほしいです」
その気持ちをプレーで表現するだけだ。