上写真=通算14度目の欧州制覇を成し遂げたレアル・マドリード(写真◎Getty Images)
厳しい戦いを乗り越えて頂点
2017-18シーズンの再現となったファイナルはレアル・マドリード、リバプールともにケガ人が戻り、ベストメンバーでの対戦となった。およそ30分遅れでキックオフされた試合は、スタートから前回対戦で敗れたリバプールが優勢に試合を進めていった。16分に右サイドを攻略し、クロスを受けたモハメド・サラーがシュート。直後の21分にもサディオ・マネが決定的な場面を迎えるなど、次々とゴールを狙っていく。
だが、この日、レアルのゴールマウスには文字通りの守護神がいた。ティボー・クルトワだ。抜群の反応とセーブでゴールを許さない。集中したプレーで何度もリバプールの攻撃をストップしてみせた。
前半をスコアレスで折り返すと、レアルにビッグチャンスが訪れる。59分のことだった。右サイドからフェデ・バルベルデが入れた鋭いグラウンダーのクロスに、ファーサイドでヴィニシウス・ジュニオールが反応。右足で蹴り込み、均衡を破った。
後半も押していたのは、リバプールの方だった。しかし、レアルは耐えてしのいで、したたかに好機を待ち、ついに先制に成功した。その後、リバプールが猛攻を仕掛けたが、結局GKクルトワが守るレアルゴールを最後まで破ることはできず。シュート数でも23本対3本と大きく上回りながら、ついぞ得点することはできなかった。
レアルはラウンド16では第1レグを落としながら第2レグでパリSGを下して逆転突破を果たし、準々決勝でもチェルシーと激闘を演じて第2レグの延長戦を制してベスト4に進出した。続くマンチェスター・シティとの準決勝も第1レグで敗れ、第2レグで延長に持ち込んで勝ち切り、ファイナル進出の切符をつかんだ。ノックアウトステージ入ってから一つもラクな試合はなかったが、粘り強さと勝負強さを随所に発揮し、勝ち上がった。
経験豊富な選手と、ヴィニシウスやロドリゴら若きタレントが融合したチームは、厳しい試合をモノにするたびに総合力を高めていった印象がある。ジネディーヌ・ジダン前監督から今季、チームを引き継いだカルロ・アンチェロッティ監督は、ポゼッション志向のチームからカウンターを主体する戦い方にシフト。豪華なタレントを生かし切れていないと批判する向きもあったが、最も効率の良い戦いぶりと、何よりその成績で周囲の声を黙らせた。決勝の舞台でも、堅守速攻をピッチで表現。リアルな戦いぶりでチームを欧州王者に導いた。GKクルトワは決勝戦で9本のセーブを実現。GKがMVPに選ばれたのは、今季のチームを象徴していた。
2021-2022シーズンのCLは、レアル・マドリードが制した。堅く守り、鋭く攻めるというリアルな戦いぶりでチームの持ち味を最大化して、最多記録を更新する14度目の優勝を成し遂げた。