上写真=オンラインで会見し、移籍の経緯や意気込みを語った長谷川唯(写真◎スクリーンショット)
必要とされていると感じました
海外移籍は子どもの頃からの夢だった。小学生の頃にはアメリカでプレーしたいと思い、年齢を重ねてヨーロッパ各国が女子サッカーに力を入れていると知ると、ヨーロッパでのプレーに思いを馳せた。
そして、1月29日、自身の24回目の誕生日にイタリアのACミランへの移籍が決まった。
「自分自身、移籍も初ですし、中学時代からずっとお世話になっているこのクラブを離れるのは寂しい気持ちもあります。でも、昔から夢だった海外挑戦ということで本当に楽しみですし、向こうでの結果だったり、活躍というのがチームへの恩返しにもなると思っています。応援してくださっている人たちにもそういう姿を届けたい。向こうでも、今まで通り変わらずに努力して日本の方々に、良い報告をしたい」
まったく悩まなかったと言ったらうそになる。夏には東京五輪の開催を控え、WEリーグは9月にスタートする。だが、夢が叶うこのタイミングを逃すことはできなかった。
「ACミランというクラブは、男子もビッグクラブですし、女子はまだ創設されてからあまり時間は経っていないですけど、明確な目標があって、1位を目指すためにこれから先、力を入れていこうというのが伝わってきました。自分自身も本当に必要とされていると感じました。ただ自分個人というよりも、このチームと一緒に上を目指したいという気持ちが強いです。監督に求められているのは中央でのプレー。もちろんサイドでプレーする機会もあると思いますけど、中盤だったり、前めの真ん中でのプレーは、自分の得意としているところ。それを求めてくれていることも、一つの決め手になりました。そこで勝負したいという思いが強くあります」
日テレ・ベレーザの永田雅人監督もなでしこジャパンの高倉麻子監督も背中を押してくれたという。先輩で海外で活躍するリヨンの熊谷紗希やアストンビラの岩渕真奈も「おめでとう。楽しみだね」とメッセージをもらったという。長谷川はイタリアで成長して、活躍して、多くのものを日本サッカーに還元するつもりでいる。
「自分自身はずっと日本でやってきて、国際Aマッチだったり、とくに大会でですが、外国人選手との対戦では、普段の足の伸びとかとは違うと感じていました。そういうことを日常から経験できるのは本当にいい環境だと思います。そういう選手(=海外で経験を積む選手)が少しでもいることで、代表での試合もまた変わってくる気がしています。行けばいいわけではないと思いますけど、自分としては日本での経験も大事ですし、海外での経験も大事だと思うので、その二つを経験できたら代表にもプラスになるのかなと思いました」
今後の目標を問われた長谷川は、「イタリアで1位、2位のチームはチャンピオンズリーグ(CL)に出られます。ヨーロッパでプレーするからにはCLに出たいという気持ちがありました。そこを目指せるチームということも今回、移籍を決めた一つの理由です。ただ、大きな目標としてCLに出るというのはありますけど、まずはチームでどれだけ結果を残せるか。そしてチームがどれだけ結果を残せるかだと思っています。個人のステップアップもありますけど、まず自分はこのチームで1位を目指したい。ACミランというチームがCLで上に行くために全力を尽くしたいと思っています」と、CLでの思いも口にした。
緑からロッソネロ(赤と黒)のユニフォームに着替えて、カルチョの国で戦うことになった長谷川唯。持ち前の攻撃センスをカルチョの国で発揮すると誓った。