4月2日、新型コロナウイルスに感染した日本サッカー協会の田嶋幸三会長が都内の病院を無事退院した。その後、オンラインで会見を行ない、現状を報告。今後についても会長として困難を乗り越えるために力を注ぐと語った。

上写真=4月2日に都内の病院を無事退院した田嶋会長(写真◎Getty images)

オリンピックは24歳以下に落ち着くのでは?

 田嶋会長は2月28日からUEFAの会議出席やなでしこジャパンの視察のためにイギリス、オランダ、アメリカを訪問し、3月8日に帰国。16日に入院、翌17日新型コロナウイルスの感染が判明していた。

「ご迷惑とご心配をおかけし、お詫び申し上げます。3月29日に3期目の会長に任命されました。入院中に承認いただけたことを感謝いたします。このタイミングで会長を任されることの責任の重さを今まで以上に感じています。サッカー界全体が一つになって、一枚岩になってこの危機を乗り越えていきたいと思います。笑顔でスポーツ、サッカーができる日を迎えるために、目の前の課題を解決していきたいと思います」

 2日連続で検査が陰性となり、4月2日に退院した。入院中からメールやWEB上でできる仕事をこなしていたが、今後も様子を見ながらが業務にあたる。陰性となっても陽性反応が出るケースもあるため、現在は家族と離れ、一人で過ごしているという。

 入院中には東京オリンピックの延期も決まった。サッカー界のみならず日本スポーツ界にとってのこの一大事についてどのような考えを持っているのか。田嶋会長は日本オリンピック委員会(JOC)の副会長職も務めている。

「五輪について、山下(泰裕)会長が一番、大変な時期に入院していて力になれなかったことは悔やまれます。日程を決めるということはその国の首相や組織委員会、JOC、都知事なども含めての決断が必要。早い段階で決まったことについてはよかったと思っています」

 オリンピックが延期されたことで気になるのは、大会終了までだった森保一五輪代表監督の任期、そして男子サッカーには23歳以下という規定があることだ。その件に関する田嶋会長の考えは――。

「チェフェリンUEFAの会長、インファンティーノFIFAの会長からお見舞いの連絡をいただきました。その際にオリンピックをどうするかと聞かれました。その際に話していたのはこの日程でできることが望ましいし、年齢については23歳以下が望ましいのではと。1歳年齢が上がることによって、クラブが選手を(オリンピックに)出すことが難しくなるからです。ただ、24歳以下にして、予選を突破したチームがそのままで出られる形に落ち着くんじゃないかと思っています。
 森保監督の任期については、その年齢の問題や競技日程もまだ決まっていませんし、ワールドカップ予選をどのように行なえるのか、見通しが立っているわけでもありません。方向性がこの2カ月、3カ月で出た中で、関塚隆代表チームダイレクター、技術委員会、そして本人の意思を聞き、決めていけばいいと思います。もちろん、(監督を)代えることを前提で申し上げているわけではありません。自分としては東京オリンピックまで契約をしていることを考えれば、(延期によって)契約自体が白紙に戻るとはまったく思っていません」

医療崩壊を起こしてはいけない

 また、会見の中で田嶋会長は入院患者として感じた医療現場の状況についても語った。

「ただPCR検査を増やすだけだとあっという間に医療崩壊を起こすことになると思います。それ以外のリスクも多くあります。(入院が必要な)感染者の家族であるうち家族も検査はしてもらえませんでした。そうしないと(症状のない)陽性者が増え、軽症者を受け入れることになる。2回陰性でなければ退院できないという現在のルールもあって、そうなればどんどんベッドが埋まってしまう。重症者を受け入れられなくなってしまいます。
 ドクターも看護師の方も、私が入院した当初に比べて、日に日にバタバタし出したのが分かりました。最初はゴーグルやエプロンも、毎回付け替えられていたが、そういうものが足りなくなってきている。今後、患者が増えてきたときには、ほかの国で起こっているような医療関係者が感染するということも起こるかもしれない。そうならないようにしなければいけません」

 サッカー界のみならず、日本、世界のスポーツ界が前例のない事態を迎えている。田嶋会長は、会見後にあらためて発表された声明の最後をこう結んでいる。

「多くの方々の協力で感染拡大を抑止し、医療崩壊を防いでいる日本という国の底力をあらためて感じています。状況は刻々と変化しており、これからも困難が伴う難しい決断がされると思います。私たち、JFA も批判を恐れずに多くのことを決定していく必要があります。我々の責務は、再び日本中で老若男女が笑顔で安心して安全にサッカーを楽しめるようにすることです。JFA だけではなく、全ての関係する団体の皆様やサッカーファミリー、ファン・サポーターの皆様と心を一つにして、覚悟を持って取り組んでまいります。JFA の会長として、未来を予測して決断し、前に進むために全力で実行してまいります」


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