前回大会を制した清水ユースが、ラウンド16で札幌U-18と顔を合わせた。清水ユースは12分にFW千葉寛汰のゴールで先制すると、後半にはDFノリエガ・エリックの追加点でリードを広げる。守備でも札幌U-18を完封し、準々決勝へと駒を進めた。

上写真=清水ユースの勝利を決定づける2点目を挙げたノリエガ(写真◎サッカーマガジン)

■2019年7月25日 第43回日本クラブユース選手権(U-18)大会 ラウンド16(40分ハーフ)
清水ユース 2-0 札幌U-18
得点者:(清)千葉寛汰、ノリエガ・エリック

「セットプレーではいつもゴールを決めたい」

「彼のヘディングは本当にすごいですよ。あの感覚が素晴らしいです」

 清水ユースの平岡宏章監督がそのように絶賛するのは、センターバックを務めるノリエガ・エリックだ。183センチの長身も魅力だが、その“技術”を称える。「良いボールが入れば、簡単に(ゴールを)決めてくれる」と、ヘディングでの得点力の高さに一目置いている。

 クラブユース選手権のラウンド16・札幌U-18戦でも、ノリエガはヘディングでゴールを挙げた。左サイドバックの鈴木瑞生からのクロスボールにドンピシャリ。「その前にコーナーキックがあったから(守備ラインに)下がらなくてよかったし、(ゴール前で)待っていたら良いボールが来たので決めるだけでした」と、フリーでゴールネットを揺らした。

 ただ、偶然にフリーとなり、ゴールを決めることができたわけではないだろう。得点へとつながるコーナーキックの直前に、ノリエガは味方の選手に声をかけていた。「相手は僕のヘディングの強さを分かっているから、ゴール前で僕のマークを外してもらったり、スペースを作ってもらったり、そういう動きをしてもらえるように(味方選手に)お願いしています」と明かす。得点を取るために何をすべきか、ノリエガは理解している。

 南米のペルー出身で、名門アリアンサ・リマの育成組織から清水ユースへとやってきた。昨年は『FW』で選手登録されていたが、「(ノリエガが)日本に来たときは言葉が通じなかったけれど、徐々に日本語を覚えて、チームの守備のやり方も理解してきた。彼の意向もあり、後ろのポジションにしました」と、平岡監督はセンターバック起用の意図を説明する。「それが今はうまくはまっていると思っています」(平岡監督)

 ノリエガ自身も、センターバックでのプレーに手応えを感じている。「(DFにポジションを変えて)よかったです。チャンスが増えましたから。フォワードには僕よりもうまい選手がいるので(笑)」と冗談交じりに話すも、「(ビルドアップは)そんなにミスはないし、それが武器でもあります。今日のように、セットプレーのときはいつもゴールを決めたい」と、特に攻撃面で持ち味を出すことを意識している。

「昨年みたいに良いサッカーをして、また優勝したいですね」。清水ユースで成長し、まずはクラブユース選手権連覇、そしてさらなるタイトル獲得を目指す。その先には、祖国を背負って戦うという大きな目標がある。

「ペルー代表でワールドカップに出たいですよ。今の考えではね」

 赤の襷模様が象徴的なシャツに袖を通す日を目指して、ノリエガは日本の地で戦い続ける。

取材◎小林康幸

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