上写真=メキシコ代表のライネス(右)。初戦のイタリア戦に出場した(写真◎Getty Images)
「勇気と戦う姿勢を持ってメキシコを上回る」
5月26日のメキシコ戦に勝利すれば、グループステージ突破に大きく近づく日本代表。試合前日の非公開練習を終えた影山雅永監督は、第2戦に向けて口を開いた。
「どの試合も引き分けでいいとかではなく、勝つためにやっています。だから、明日のメキシコ戦も勝ちたいですよ。この前(エクアドル戦)の前半と後半のパフォーマンスの違いに焦点を当てて、その後半よりもさらに良いパフォーマンスをしようではないかと。前半は怯んだのか、相手をリスペクトし過ぎたのか、自分たちのプレーをなかなか出すことができなかった。後半のように勇気を持ってやれば、(日本の持ち味が)出せるんですよ。なので、さらに高いレベルのものを次の試合で出そうと話しました」
初戦のエクアドル戦は前半に先制を許したものの、後半に追いつき、引き分けに持ち込んだ。その一戦での反省を生かし、メキシコとの第2戦で大会初勝利を目指す。ただ、昨年9月に対戦して実力を体感しているだけに、指揮官は警戒を強める。
「(メキシコは)良いチームですよ。核になる選手もいます。昨年9月にメキシコでやったときは、我々の良さを出せた場面もあるし、彼らの良さが出たところもある。五分五分の拮抗したゲームでした。明日はタフな試合になると思います。彼らは初戦で(イタリアに)負けてしまったので、明日の試合(日本戦)は負けられない。そういう気持ちで来ると思います。我々は初戦の前半のようにならず、後半に見せた勇気と戦う姿勢を持って、メキシコを上回らないといけません」
影山監督が言う「核になる選手」の中でも、特に注意しなければならないのは、背番号10を背負うMFディエゴ・ライネスだろう。テクニックとスピードを武器に、スペインのベティスで活躍する18歳のドリブラーだ。初戦のイタリア戦でも、そのスキルを随所に見せた。
「(ライネスを)『止めろ!』と(笑)。うち(日本代表)のテクニカルスタッフが彼の映像をメンバーに入りそうな選手に渡して、『対策を考えておけ』と伝えました。(試合前の)最後のミーティングで多少のこと(ライネス対策)は話しますけれど、その(対峙する)ポジションの選手が最後のところで負けないこと。それは他のすべてのポジションにおいても言えることです」(影山監督)
ライネスはイタリア戦で右サイドハーフのポジションから、縦へ、横へと、縦横無尽にドリブルしていた。そんな今大会随一のスターとも言うべき選手を止めることは、決して容易いことではない。それゆえに指揮官が多くを指示するよりも、まずは選手がそのプレーを頭にインプットすることが、一番の“対策”となるのかもしれない。
日本時間22時30分にキックオフの笛が鳴るメキシコ戦。日本代表はメキシコ国民の期待を背負うU-20世代屈指のドリブラーを止め、勝ち点3を獲得できるか。影山監督が率いる若きサムライの戦いぶりに注目が集まる。
取材◎小林康幸