上写真=コロンビア戦で感じた差を埋めていきたいと山口は話した(写真◎小山真司)
しっかりクラブでやってこそ
昨年9月に招集されたときはケガで参加できず、以降はなかなか声がかからなかった。今回の代表招集はロシアW杯以来、実に8カ月ぶりのこと。
それでも本人が過度に入れ込むことはない。まずは森保ジャパンのやり方を理解することに努め、その上で普段通り自身の持ち味を出すことに注力した。
「(コロンビア戦は)個人的にはそんなに守備の仕方とかを変えたつもりはないですけど、いつも以上により集中して試合に入ったのは間違いないとは思います。相手がパワー系のFWを入れてくるまではうまく対応できたとは思いますが、そこからパワーとスピードを持った選手が入ってきた中で、その対応に関して全体的に苦しんだところはあったと思う。個人的にも、対応できなかった部分もあって、そういう差はあるなと感じました。その差は埋めていかないと」
コロンビア戦の失点は味方のハンドによって相手に献上したPKによるもの。ジャッジも微妙だったため、問題点としてはっきりと認識するのが難しい面もあった。だが、山口は失点に至る過程で生じた『劣勢』を問題視し、課題についてもしっかり見いだしていた。山口が出場していた71分間には守備から攻撃にスムーズにつないだ時間帯もあり、手ごたえも感じていると思われたが、本人の心に深く刻まれたのは、収穫よりも課題だった。
「(今回の自身の出来については)自分がどうこう言えることではないと思います。監督を含めていろんな評価によりますし、自分は久しぶりで、代表でのやり方も変わっている。その中で、少しどういうふうにやるのかなという感じでやっていたところもある。これからコンスタントに選ばれていくことができれば、もっとうまくやれるかなとは思いますが」
久しぶりの代表復帰で、森保ジャパンにも今回が初参加。自分の立ち場をわきまえ、口にする言葉は謙虚そのもの。すべてが実直で、簡潔だ。ブラジルW杯、ロシアW杯と2大会連続出場中であり、当然、3度目のワールドカップも視野に入れていると思われるが、その点について問われても、山口はあくまで冷静に、現状について話すのみだった。
「個人としては4年後を目指すのはまだ早いかなと思う。とりあえず明日の1試合(=ボリビア戦)を含めて、しっかりやることしか考えていないです。そのあとはまたクラブでやっていくしかないと思うので。
やっぱりしっかりクラブでやっていかないと、というのは思います。そうやっていたからこそ今があると思いますし。だからよりいっそうチーム(=ヴィッセル神戸)でしっかりとやるという気持ちは強くなりました」
充実の日常の先にこそ、3度目のワールドカップがある。今回の代表活動によって、一つ一つしっかりとやり抜いて進むという山口の信念は、さらに確固たるものになった。
写真◎小山真司