上写真=パナマ戦で途中出場から数分間プレーしたのに続き、ウルグアイ戦は74分間プレーした柴崎(写真◎福地和男)

 ロシアW杯でその才能を見せつけたコンダクターが、代表戦で久々に先発。しかし、所属するヘタフェ(スペイン)でコンスタント試合に出られていない状況もあってか、圧倒的なプレー、存在感は影を潜めた。

先を見通す目はコンダクターのそれ

 攻撃のタクトを託され、ドイスボランチの一角として先発した。ただ、74分に退くまでのプレーはトップフォームからは程遠いもの。ロシアW杯で見せた圧倒的な存在感を放す柴崎岳の姿は、この日の試合では見られなかった。

 むろん、実戦で初めて一緒にプレーする選手が多かった面はある。試合後に語った通り、仕掛ける力を持つ2列目の選手たちの力を引き出すために、バランスを考えていたことも事実だろう。ただ、本人も自身の出来には満足してなかった。

「僕としてはもっともっとできるかなという、レベルだと思います」

 見る者も多くが「もっとできる」柴崎を知っている。求められるのは、やはりピッチに君臨するコンダクターとしての姿。所属クラブでゲームにコンスタントに出られていない現状と代表戦でのプレーぶりが、この日に限っては結びついてしまった。つまりは試合勘の欠如という意味で。やはり、試合にコンスタントに出てこそ養われ、磨かれるものがある。

「(チームとしての)ポゼッションの精度を高めなきゃいけないというのはもちろん大前提として、少しのミスがあったところに対しては、全員がしっかりと反応できていた。そこは意識はできたかな、と。大前提としてはポゼッションの質を上げて、前線にいかに運んでいけるかという部分を突き詰めたいと思いますし、相手のプレッシャーがきついからと言って逃げるわけではなく、やっぱりそこでしっかりと相手をいなしながらやっていけば。(今日は)ショートカウンターという形も何回かありました。翔哉も律も拓実もドリブルで前に仕掛けていけるタイプなんで、そこは改善して、良くしていける部分かなと。(仕掛けられると2列目と一緒にプレーするのは面白いのでは?)まあ、面白いタイプというか、何だろう、今まであまりいなかったタイプかなと。ただ、彼らをやっぱりよくコントロールしなければいかなきゃいけない部分がボランチの役割としてあると思うので、そのへんもしっかり話していければいい」

 チームとして今後、どうすべきか。先を見通す目は、やはりコンダクターのそれだ。柴崎がベストな状態でこのチームを仕切ったら、どうなるのか。いやが上にも期待は膨らむ。

「セットプレーはもちろん、改善できる部分かなと。長年の課題というか、もうちょっと考えなきゃいけないですね、セットプレーの守備は。あとは南米の選手は、2点目のケースのように、ああいうところを狙っているので。そこは、チーム全体として気をつけていかなきゃいけない。3失点しているので、反省すべき点はありますし、なんていうのか、対照的な攻撃と守備の試合になったかなと思いますね。
 (それでも勝ったということについては?)結果はすごい自信になると思いますし、ちょっと今までと違うのは追い付かれてもしっかり追加点をあげて、引き離しにいけているという部分。その点に関しては今までの代表とまたちょっと違うところかな」

 未来の輪郭と、それを達成するために必要なプロセスが見えている背番号7。ウルグアイ戦では、新生・日本代表をさらに高いレベルへと進めるために、ベストな柴崎岳が必要であると感じさせた。

取材◎佐藤 景 写真◎小山真司、福地和男


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