上写真=前日練習で汗を流す青山敏弘(写真◎BBM)
パナマ戦を翌日に控え、青山敏弘が練習後に取材に応じた。今回は吉田麻也がキャプテンを務めるが、現チームのキーパーソンの一人であることは変わりない。チームと自身の現在地について語った。
緊張感、ありますね。
「(監督が)森保さんだから選ばれているだけであって。結果が残せなければ次はないと思っているし、でも結果を残せれば次につながっていくと思っているんで、まあシンプルです」
世代交代が進む日本代表にあって、年長者である自身の存在意義を問われると、青山はきっぱりと言い切った。求められることにしっかり応えていく責任を自覚するが、一方で自分のポジションが安泰ではないことも知っている。10月シリーズはロシアW杯の主力組が加わり、9月シリーズとは違った「空気」が漂う。そのことが今、良い刺激となり、危機感につながっているという。
「緊張感、ありますね。それはグラウンドだけではなくて、ホテルでもそうですし、移動中でもそうですし。やっぱりみんな意識するものはあると思うので。自分自身もそうだと思うし、越えなきゃいけない壁がそこにあると思うので、しっかりそこは(ロシアW杯の海外組に)刺激をもらいながら挑んでいければいいと思う。ただ僕は何もアプローチを変えるつもりはないので、うん、その中で何を出せるか。練習の中でレベルアップできるか、試合の中で結果を出せるか」
所属する広島では主力として3度J1優勝を経験し、そのうち2度は主将として栄誉に浴した。いずれも指揮官は森保監督。青山にはほかの選手にはない経験と指揮官の考えを深く理解しているというアドバンテージがあるようにも思えるが、本人は自らの立場を挑戦者として語る。
では、現代表チームにおける自身の役割についてはどう考えているのか。まずはピッチ内について。「今回はキャプテンから外れ、より身軽な立場で自分を出せるのでは?」と問われたときに、次のように答えている。
「もちろん自分の良さを出したいですけど、その前にしっかりチームとしての良さを出せればいいと思っています。自分が良さを出すよりもね、それこそ前の良い選手がこの間みたいにしっかりしたプレーを出してくれれば、自分がいなくてもいいと思うので。そこまでしっかり持っていけるように、つなぎ役としてはね。そういうイメージを持っていますけどね」
ピッチ外ではどうか。年長者として経験を伝える役割については?
「僕自身、そんなに経験していないので何か自分から伝えていくというのは難しいと思います。ただ、まだ最初なんで難しいかもしれないですけど、みんなでのコミュニケーション取れる雰囲気というのはサッカーをやっていれば自然と出てくるところだと思うし、(だんだん)みんなで積極的にコミュニケーション取れるようになってくると思う。試合をすればもっとそういう機会が多くなってくるし、練習だけじゃなくて、試合で生の声というか、初めて共有できるところがあるので、そういうのを増やしていきたいと思います」
本人は経験がないと謙遜するものの、キャリアを重ね、常にチームを俯瞰できるその存在は現代表にとって極めて有益だ。森保監督は9月シリーズでキャプテンに任命した際に青山について「自分にも厳しいし、チームのこと、仲間のことを思いやって行動できる選手。チーム全体をまとめてもらって、その時々でメンタルの状況があると思うので、そこでチームがうまく進むように行動してもらいたい」と話していた。
キャプテンは外れたが、ピッチの内と外における重要な『つなぎ役』は、青山だからこそ担える役割ではないだろうか。
取材◎佐藤 景