3月12日(月)、JFAハウスで2018プレナスなでしこリーグ・プレナスチャレンジリーグ開幕記者会見が行われ、なでしこリーグ1部10チームのキャプテンと監督が一堂に会し、3月21日(水・祝)に控えるリーグ開幕に向けて抱負を語った。
なでしこリーグは今年、30周年を迎える。1989年に日本女子サッカーリーグ(略称:JLSL)の名前で創設され、1994年後期からは呼称が「L・リーグ」に変わった。そして2010年に現在も続く「なでしこリーグ」となり、現在では1部10チーム、2部10チームが所属している。
リーグは30年目という節目の年を迎え、「プレナスなでしこガールズサッカークリニック」と題した子供向け普及・食育イベントの立ち上げを発表、またオランダのインターネット動画配信会社mycujoo(マイクージュー)とパートナー契約を結び、年間70試合をオフィシャルHP上でライブ配信するなど、新たな試みも発表された。
ただ、30年という節目の年の開幕記者会見は、お祝いムードとは言い難かった。開幕間近で選手も監督も戦闘モードに入っていることも理由の一つだが、それ以上の理由もあった。2016年、17年の2季連続得点王に輝き、日テレ・ベレーザのリーグ3連覇の立役者となった田中美南の言葉が象徴的だ。
「いま、日本女子サッカーを覆う停滞感は自覚しています。2011年になでしこ(ジャパン)が世界一になって、応援してくれる方々のハードルも高くなっているのも承知の上。だからこそ、このリーグで結果を出し続ける。進化していることを証明する。自分たちにできることはそれしかありません」
日本女子サッカーを覆う停滞感とは、言うまでもなくなでしこジャパンへの周囲の期待のことだろう。2011年のドイツ・ワールドカップで世界の頂点に立ち、続く2012年ロンドン五輪、2015年カナダ・ワールドカップでも世界のファイナリストとなったなでしこだが、監督交代に伴う世代交代がうまく機能せず2016年のリオ・オリンピックへの出場権を逃したことをきっかけに、世間の注目度は下降した。今月行われたアルガルベカップでも、強豪デンマーク相手に勝利するなど明るい兆しはあったものの、オランダ、カナダに完敗し、参加10カ国中6位と結果も振るわなかったことで、世間の期待値はむしろ更に下降気味と言える。そのなでしこジャパンの一員としてメンバーに選ばれ、全4試合に出場(うち2試合途中出場)しながら、ゴールという結果を出せなかった田中だからこそ、自分たちの置かれた立場を誰よりも自覚している。
「今年のベレーザは監督も代わって新しいサッカーを目指します。見ていて面白いサッカー、やっていて面白いサッカーを追求します。それでも私に求められているのはゴール。昨年は達成できなかった20ゴールを目標に、3年連続得点王を目指します」
リーグ3連覇中のベレーザで、今年からキャプテンも任される。これまで6年間、岩清水梓が務めてきた大役も「不思議とプレッシャーはありません。ベレーザは本当にチームワークが良いチーム。周りの選手にサポートしてもらいながら、自分らしいキャプテン像を築いていければ」と自分を見失っていない。2季連続得点王、そしてリーグ3連覇中のベレーザのキャプテン。名実ともにリーグを代表する田中の言葉は、そのままリーグを象徴する言葉と言える。
「リーグのレベルは代表のレベルに直結します。自分たちができることは、とにかく見ていて面白い試合をすることだし、それはどのチームもどの選手も同じ気持ちだと思います。その全力の結果が、なでしこジャパンの結果につながると信じて――」
30年目の女子サッカー、2018プレナスなでしこリーグは3月21日(水・祝)に開幕する。