■2018年3月2日 J1リーグ第2節
川崎F 1-1 湘南
得点者:(川)小林悠
(湘)松田天馬
J1復帰1年目の湘南が前年王者の川崎Fに追いつき、敵地で貴重な勝ち点1を挙げた。56分に川崎Fの小林悠に先制ゴールを許したが、0-1の66分にCKのこぼれ球を大卒新人の松田天馬が詰めて同点に追いついた。川崎Fはホーム開幕戦を白星で飾れなかった。
「ナイスゲームとは言えない」
今季から10番を背負う秋野央樹が、昇格組の湘南を攻守両面でけん引している。前節に続いて、この日もプレースキックからゴールのきっかけをつくった。66分、左CKから得意の左足でアンドレ・バイアの頭にピタリと合わせ、そのこぼれ球から松田天馬の価値ある同点ゴールが生まれた。
「今季は特にプレースキックの練習をしているので。ゴールにつながっているのは自信になります」
ボランチとしても最低限の役割は果たす。キーマンの中村憲剛を見張りながら、攻撃を組み立てる大島僚太にも懸命にプレッシャーをかけ続けた。それでも、本人は納得していなかった。
「ファウルになることもあったし、奪い切ることはできなかった。日本トップレベルの選手たちからボールを取れないと、僕自身、もう一つ上のレベルにはいけない」
試合を振り返る表情も厳しい。前年王者を相手に堂々と渡り合っても「ナイスゲームだったとは言えない」と物足りなさを口にした。アウェーで勝ち点1を取れたことは最低限の結果として捉えていた。
同世代のボランチとして意識する大島僚太との差も痛感。「まだまだ差があった」。リオデジャネイロ五輪を目指す年代別日本代表でも一緒にプレーしており、試合前には「差が縮まっているのか。差が開いているのか。同じピッチに立って確かめたい」と話していた。
湘南では曺貴裁監督に徹底して鍛えられ、昨季のJ2では持ち味であるキックの精度を磨き、守備面では力強さが増した。今季は「湘南の心臓」として、司令塔の役割を担う。J1での腕試しは、始まったばかり。柏からレンタル2年目の秋野にとっては、勝負のシーズンとなる。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE PHOTOS