来年のパリ・オリンピック出場を目指すU-22日本代表が11月18日、U-22アルゼンチン代表を迎えて親善試合を戦った。ともに持ち味をぶつけ合う好ゲームで、日本は実に5つのゴールを奪いきった。得点を決めた4人が充実の言葉と表情で振り返った。

上写真=先制ゴールに笑顔の佐藤恵允。鋭いミドルシュートをねじ込んだ(写真◎Getty Images)

■2023年11月18日 国際親善試合(@アイスタ)
U-22日本 5-2 U-22アルゼンチン
得点:(日)佐藤恵允、鈴木唯人2、松村優太、福田師王
   (ア)パブロ・ソラリ、ティアゴ・アルマダ

「ホッとしています」と凱旋の鈴木唯人

 U-22アルゼンチン代表から、取りに取ったり、5ゴール。18分に佐藤恵允がミドルシュートを突き刺して先制すれば、一度は逆転されたものの、66分と75分に鈴木唯人が連続ゴール、81分には松村優太が続き、仕上げは88分の福田師王だ。

 佐藤の一発はペナルティーエリアのすぐ外からのショットだった。松木玖生が中盤で受けて左に体を開いておいて、中に差し込むパスで佐藤に前を向かせた。佐藤は右へと運んで右足をコンパクトに振ると、ボールはGKの手の先を通ってゴール左に転がり込んだ。

「強い気持ちで絶対に決めようと思ったので、決めてよかった」

 佐藤は不運にも相手との接触プレーで左ヒザを強打して、44分で交代したが、しっかりとインパクトを残した。

 先制からわずか4分後にミス絡みで同点とされ、後半開始早々の50分にはFKを直接決められて逆転された。ここからしばらくは暗転するのだが、その悪循環を突き破ったのが、背番号10の左足である。

 66分、最終ラインから西尾隆矢が右前に展開、受けた半田陸が中央への力強い斜めのパスを託すと、受けた鈴木はそのまま前を向いてペナルティーエリアの外から左足でゴール右に突き刺した。

「必ず得点したかったので、ホッとしています」と優しく笑った鈴木は、75分にも輝く。再逆転の一発だ。それを引き寄せたのは、このチームの根幹をなす素早いトランジションからの球際の強さである。

 左サイドで山田楓喜と植中朝日で挟み込み、奪ったボールを鈴木が左外に展開、松村優太が自慢の速さを生かして縦に突破してセンタリング、逆サイドから入ってきた半田が落ち着いて横に渡すと、鈴木が左足でプッシュして決めた。清水エスパルスの一員としてプレーしてきた日本平スタジアムで、2ゴールの凱旋だ。

 このハイプレスとショートカウンターのコンボは、6分後にも効果を発揮した。今度は右サイドで山田と半田が2度に渡ってしつこく相手ボールに食らいつくと、半田が回収して中へ。松村がそのまま持ち込んで、相手の寄せの甘さを見逃さずに左足でゴール左へと狙いすまして送り込んだ。

 佐藤の負傷によって交代で入っていた松村は「仲良くしているので、佐藤の思いも背負って入った」と気合十分。静岡学園高出身だけに、日本平スタジアムはいわば「ホーム」。「得点することができて、成長した姿をお見せできてうれしく思います」と笑顔を見せた。

 これで終わったわけではなかった。この代表で初出場となった19歳の期待のストライカーが、いきなり結果を残した。86分にピッチに入った福田師王だ。

 自陣深くでGK藤田和輝から引き出して前を向いた藤田譲瑠チマが遠くを見たところに、最前線で福田が走っていた。そこに最高のスルーパスが送られてくる。前に持ち出して、飛び出してくるGKをよく見て左足のシュートで股下を抜いた。冷静極まりなかった。

「いいところに来たな、と思って、あとはシュートだけでした。シュートには自信があるので、決められてよかった」

 ドイツのボルシアMGに渡った日本の未来を担う若きストライカーは、自ら最高の「デビュー」にしてみせた。

 それでも、あくまで親善試合。パリ・オリンピックへの道程にすぎないから、選手たちも冷静だ。

「得点を取れたことはいいですけど、個人個人を見たら相手の方が上回っていたところが多いので、まだまだ頑張りたい」と鈴木が引き締めれば、福田は自らの役割を「得点を取ってチームを勝たせるところ」とさらなる意欲を口にする。

 そして、佐藤の言葉がこの世代のすべての選手の思いを代弁しているだろう。

「オリンピックで金メダルを取るというのがこのチームでの最大の目標で、その先のA代表に向けて意識高くやっていきたいと思います」


This article is a sponsored article by
''.