東京五輪世代の国内組による『U-23日本代表候補トレーニングキャンプ』がスタートした。今回の合宿には3人のGKが選ばれたが、代表常連の大迫敬介は今季のJリーグで若きGKが活躍したことを歓迎。競争激化を前向きにとらえていた。

上写真=合宿初日を迎え、トレーニングする大迫敬介(写真◎サッカーマガジン)

あの大会の悔しさは忘れない

 2020年は大迫にとって、苦しい1年だったと言えるのかもしれない。1月のU-23アジア選手権では3試合でゴールを守ったが、2分け1敗でグループ最下位で敗退という屈辱を味わった。さらに所属するサンフレッチェ広島では常時出場は叶わず、2019年に比べて出場数を減らすことになった(29試合→15試合)。

 その中で、今季のJリーグでは五輪世代のGKが台頭した。今回の合宿に選ばれている波多野豪(FC東京)や沖悠哉(鹿島)のほかにも所属チームで出場機会をつかみ、成長著しい選手がいる。五輪世代でJ1で出場機会を得ているGKの筆頭が大迫だった昨シーズンとは状況が変わった。つまりはそれだけライバルが増えたということでもある。

「今年、オリンピックの世代のキーパーがJリーグを通して出てきたというのは自分にとっても刺激になります。逆に僕は今年、満足いくシーズンではなかった。そういう中でライバルの選手たちがピッチで躍動する姿というのは、もちろん悔しい気持ちがありました。そういう選手に負けないこともそうですけど、自分自身の目標というのはもっと上の方にあるので、そこは意識し過ぎず、自分がやるべきことに目を向けて、今シーズンは過ごしていました」

 まずは所属チームで活躍すること。それが大前提になる。安定感を誇る先輩、林卓人とのポジション争いに勝っていかなくてはならない。

「出られていない時期でも、なんで出られないんだろうと、自分のウイークポイントに目が行きがちになりますけど、そうではなくて、もちろんウイークな部分をストロングにする努力はしますが、それよりも自分のストロングを磨き続けて、自分に自信を持つことが急に来たチャンスで自分の強みを出せるカギになると思いました。ネガティブなことではなくて、自分のストロングを磨くことに集中して日々を過ごしていた」

 自身のストロング(強み)は、「シュートストップだったり、クロスの対応だと思っています」。磨き続けた武器を、今回の合宿でしっかり出すのはもちろん、広島でもしっかりと出して、定位置確保につなげるつもりだ。

「あの大会(U-23アジア選手権)はやっぱり全員が悔しい思いをしたと思いますし、アジアで敗退してしまったことは受け止めなければいけない現実だと思っています。以前から期待されているぶん、大会が始まる前に危機感を与えてもらったというのは、自分たちにとって一つの収穫だと思ってもいます。悔しい思いを持ちながら、限られた時間の中で危機感を増しながら、一つ一つ取り組むことであの大会が生きると思うので、あの大会を無駄にしないように、経験した選手もそうじゃない選手も、一つになって、準備していければと思います」

 本大会の1年延期は、大迫自身の状況を変え、チームの編成も大きく変わることになるかもしれない。それでも「ある意味準備する期間が増えたというとらえ方をしましたし、1月に敗れてあのまま少し不安が残るまま本大会に行くよりは、1年間、自チームで活躍して、オリンピック代表の活動はなかなかできなかったですけど、キーパーで言えばこうして若い選手が出てきて、競争が始まったというのは良いことだと思う。その意味ではネガティブにはとらえていない」と前向きだ。

 同世代のGKをけん引してきたのはこれまで間違いなく大迫だった。その力と自信を今回の合宿でも、改めて示すことになる。


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