日本代表は19日、アジアカップのグループステージ第2戦に臨み、イラクに1−2で敗れた。森保一監督は「反省しなければいけない」と前を見たが、ここではその反省すべき内容の一つ、クロスからの2つの失点について考える。日本は何が足らずに相手に2ゴールを献上したのか。

上写真=日本は試合開始直後からイラクにペースを握られた(写真◎AFC)

クロスからの2発に沈む

 日本は、イラクに力負けした。微妙な判定もあったにせよ、それを差し引いても今回は相手のほうが上手(うわて)だった。負けるべくして負けた一戦と言える。

 ベトナム戦に続き、この試合でも日本は2失点を喫した。昨年6月からベトナム戦まで続いていた10連勝中は、複数得点とともに失点の少なさも際立っており、2失点したのはトルコ戦とそのベトナム戦のみ。クリーンシートも5回を数えた。

 だが、この日は試合開始早々にあっさりゴールを献上してしまった。

 その1失点目。悔やまれるのはイラクの右センターバック、サード・ナティク・ナジにフリーでロングボールを蹴られたことだ。日本陣内の左サイド、相手のスローインが出発点だった。ナジにボールが渡った瞬間、浅野が距離を詰めたものの、間に合わなかった。

 スローインは、攻撃側の1人がピッチの外に出るため、ピッチ内では必ず守備側が『数的優位』な状況になる。にもかかわらず、この場面では相手のプレーに制限がかかっていなかった。浅野が1人で2人のケアをする状況になっていた。

「スローインからの流れでボールが右に流れてきて。インサイドのランニングがあったと思うんですけど、そこに走ってくるのは分かっていた。そうなる前に、スローインのところでどういう守備の仕方をするかっていうのはもっとできたと思うし、ボールが来てからももっと間合いも寄せれたかなと思う」

 そう振り返ったのは、この試合で再三、難しいプレーを強いられる形になった右サイドバックの菅原由勢だ。

 浅野の起用は前線からしっかりプレスをかけ、相手にいいボールを蹴らせないためだったはずだ。試合前日の取材で浅野は「とにかくスイッチを入れて、自分が動いて、チームのために走るっていう、それの連続。それができたらいいなと。いま日本代表に何が必要かといったら、そういう部分。まあバカになるわけじゃないですけど、誰よりも走る前線の選手だったり、チームのために犬みたいに追いかけ回す選手というのが、1人いるだけでもやっぱりスイッチは入るものだと思うので」と語っていた。その意識は感じられたが、浅野とともに連動して動く選手がいなければプレスは空転する。

 ナジのキックで大きく振られる形になった日本は、ペナルティーアーク付近でイラクの前線の基準点であるアイメン・フセインにフリックを許す。帰陣していた伊東純也が競り合ったが、ボールに触れることができず、右センターバックの板倉滉は釣り出される形になった。

 アイメンのフリックをフォローしたのは前線まで出張っていた左サイドバックのアハメド・ヤヒヤ。菅原がプレッシャーを掛けに行くが、菅原の背後のスペースに走り込んだアリ・ジャシムにパスを通された。

 ジャシムに対しては板倉がマークについたものの、ハンドを警戒して後ろに手を回しつつ、コーナーキックになることを嫌ったか、半身の守備になったところでクロスをあげられてしまった。GKの鈴木彩艶がそのクロスをいったんはパンチングでしのぐ。だが、弾いた先にアイメンが待っていた。ヘディングで先制されることになった(5分)。

「もちろんアンラッキーなところもありましたけど、やっぱりああいう展開で、まずは各々やらせないところだったりとか、あそこまで持ってかれるっていうところは反省しないといけないと思う」
「相手がロングボールでやってくるという中で、プレッシャーがかかっていなかったんで、ラインも上げていなかったし、もう1回(映像を)見ないとわからないですけど、そこはチェックしないといけない」

 板倉はプレッシャーがかからなかったと1失点目の状況を振り返った。イラクは一瞬でも判断やプレーが遅れると、1回でも対応を誤ると失点を招くレベルの強国だった。2023年1月に中東王者を決めるガルフカップを35年ぶりに制した力を、まざまざと見せつけられた。


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